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三浦雅士・評 『「大分岐」を超えて アジアからみた19世紀論再考』=秋田茂・編著

 (ミネルヴァ書房・5940円)

 いま経済史が面白い。本書に先立つ秋田茂編著『アジアからみたグローバルヒストリー』(二〇一三)もそうだが、小説より面白い。世界経済の流れが立体的に分かるだけではなく、現場で経済活動を行う人々の声が聞こえてくる。

 アブー・ルゴド『ヨーロッパ覇権以前』(一九八九)、グンダー・フランク『リオリエント』(一九九八)、ポメランツ『大分岐』(二〇〇〇)など、イギリス産業革命によって近代世界経済が形成されたとする往年の歴史観を根底から覆すような一連の著作が登場してから、率直にいって、経済史が変わった。グローバルヒストリー、すなわち人類史を地球規模で構想し、その軸として経済史を位置づけようとする視点の登場である。しかもその動きが、先史考古学、集団遺伝学、比較言語学などがいま解明しつつある、現生人類がアフリカから出て世界に適応拡散してゆくおよそ七万年の旅の内実と、深部において呼応しながら展開していると思わせる。地政学的な観点から見れば両者には驚くべき類似があって、たとえばこれらの書物とともにベルウッド『農耕起源の人類史』(二〇〇四)を読んでも、異質なものを読んでいるという気がしない。

 変化を把握するには、ここ半世紀大きな影響力を持ったウォーラーステインの『近代世界システム』(第一巻が一九七四)を参照するのがいい。産業資本主義、金融資本主義は、国内に階級分化をもたらしただけではない、グローバルに階級分化を、つまり先進国とそれによって収奪され続ける第三世界という階級分化をもたらしたのであり、それがすなわち近代世界システムである。この考え方に反旗を翻したのが、かつてはウォーラーステ…

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