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「夏芝居」吉右衛門の団七を=小玉祥子

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 今のように冷房器具も発達していない時代。暑い夏に好んで上演されたのが、本当の水を用い、幽霊を出すなど、観客に心理的な冷気を感じさせる芝居である。「夏芝居」と呼ばれた。

 6月の東京・歌舞伎座の夜の部に登場する「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」もそのひとつだ。人形浄瑠璃で延享2(1745)年7月に大坂・竹本座で初演され、歌舞伎化された。主人公は店を持たずに魚を売り歩くぼてふりの団七九郎兵衛。今回は1963年に初演して以来、あたり役とする中村吉右衛門が演じる。

 クライマックスが「長町裏」。恩ある人の子息を助けるため、団七は女房お梶の父で、強欲な義平次を手にかける。殺しの背景となるのが、高津宮(大阪市中央区)の宵宮だ。祭礼と殺しが同時に進行することで高揚感がいや増す仕掛けだ。

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