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CNF

顔料で重ね描き実現 立体感ある陶磁器開発へ 県が特許出願 /愛媛

「ガラスへの重ね描きも自在です」とCNF入り絵の具で三重の絵付けをしたビーカーを示す愛媛県窯業技術センターの中村健治主任研究員=愛媛県砥部町で、松倉展人撮影

 県は新しい繊維素材として注目されるセルロースナノファイバー(CNF)を陶芸の分野に生かし、CNF入りの絵の具(顔料)で陶磁器に重ね描きする技術を特許出願した。水の中では顔料になじみやすい一方、いったん乾燥すると水に分散しないCNFの特長を生かし、従来の陶磁器ではできなかった重ね描きを可能にした。新たな製品開発が期待される。【松倉展人】

     CNFの原料は植物で、太さ数ナノメートル(ナノは10億分の1)の繊維が解きほぐされている。軽く、頑丈で手に入りやすいことから、さまざまな産業分野で導入が模索される。

    同じ分量の顔料を水に溶かし、1日置いたもの。水だけの左2本は顔料が沈殿するが、CNF配合の右2本は顔料が分散したまま残る=愛媛県砥部町の県窯業技術センターで、松倉展人撮影

     絵付けへのCNF導入は県窯業技術センター(砥部町)の中村健治・主任研究員(46)が開発した。水1・8ミリリットルに0・2グラムの顔料を入れてかくはんし、1時間ほどおくと顔料はほとんど沈殿する。ところが重量比でCNFを2%ほど分散させた水の中では、同じ量の顔料を1日おいても大部分は沈殿せず、微細な繊維のすき間に顔料がからみ付き、絵の具として使いやすいことが分かった。

    砥部焼タイルに五重の絵柄を重ねて描き、立体感を出すことも可能に=愛媛県砥部町の県窯業技術センターで、松倉展人撮影

     従来の絵付け技術で重ね描きを試みた場合、油性の絵の具には釉薬(ゆうやく)(うわぐすり)をはじく欠点があった。また水性絵の具では図柄が崩れ、いずれもうまくいかなかった。ところが、CNFを配合した絵の具でいったん絵付けして乾燥させると絵の具は定着したまま残り、何度も重ね描きしてそのつど焼成することで、立体感のある焼き物ができることが裏付けられた。

     中村さんは「市販のタイルにさらに着色し、名前などを入れた記念タイルを作ることも可能。立体感のある絵柄にも挑めます」と話し、過去にない陶磁器作りに向けて試作を重ねている。

          ◇

     県は2016年度から食品、繊維、紙産業、複合材料などの分野でCNFの研究・試作を続けている。昨年はタオルの製造工程に活用し、環境への負荷を低減する技術を県繊維産業技術センター(今治市)などが開発。今春は陶磁器への絵付け技術とともに、柑橘(かんきつ)の皮を使ったCNF製造方法を確立したとして、これら3件を特許出願中。今後もさまざまな分野の新商品開発を通じ「CNF産業県 愛媛」を目指す。

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