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詩の橋を渡って

言葉に孵化しない<何か>=和合亮一(詩人)

5月

 はずれの言葉。辺縁の言葉。どこからでも始まる言葉。アーモンドの木の言葉、春と高齢の雪。

 この言葉の卵は孵化しないだろう。

 三〇歳で出した第一詩集から現在までの作品を選び、二冊の本にまとめる作業をほぼし終えた。いざ始めてみると当時の暮らしの記憶が鮮やかによみがえってくる瞬間が多くあった。日記のように作品に直接に書かれているわけではないけれども、心の引き出しにおよそ二十年ほどの生活の切れ端のようなものが仕舞(しま)われてあることを実感した。

 フランスを代表する詩人、ジャン=ミッシェル・モルポワの三十数年前の詩集『イギリス風(ふう)の朝(マ…

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