メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

Interview

佐多達枝 音楽の圧倒的力、乗せて 合唱舞踊「カルミナ・ブラーナ」演出

指導する佐多達枝=宮武祐希撮影

 中世ヨーロッパの若者が生の哀歓をうたった詞華集「カルミナ・ブラーナ」。19世紀に南独の修道院で発見され、20世紀にカール・オルフが作曲した。そして21世紀の東京で「合唱舞踊劇」として、8度目の上演を迎える。演出は「O.F.C.」の芸術監督、佐多達枝。「音楽の圧倒的な迫力を、そのまま舞台に乗せたい。お客様に元気を持ち帰っていただければ」と、86歳にして意気軒高だ。

        ■  ■

     佐多が初めて同曲を取り上げたのは1982年。「敬虔(けいけん)な思いを込め、自由に素朴に」振りを付けたという。これに感銘を受けたのが現O.F.C.代表の柴大元。調べたところオルフは「魔術的な場面を伴う世俗カンタータ」と銘打ち、初演時から管弦楽と独唱・合唱に舞踊を加えていたことを知る。作曲家の生誕100年に当たる95年、原点に返るべく、音楽と舞踊を融合させた新版「カルミナ」を上演。大評判を取って再演を重ね、2013年度の芸術祭大賞も受けた。

     合唱団が舞台に上がり、古代ギリシャ悲劇のコロスのごとき役割を果たすのが新版最大の特徴だ。「文学と音楽、舞踊の根源は同じ」と佐多。はっとするような動きが生み出すエネルギーの波が寄せては返し、場内は祝祭感に満たされる。

        ■  ■

     母はプロレタリア作家として名高い佐多稲子。「女性も手に職を」という父の教育方針で幼い頃、バレエ教室に送り込まれた。「将来、幼稚園の先生としてお遊戯が教えられるように、と考えたようです」。日本にバレエを根付かせたエリアナ・パブロワらに師事。「楽しむことを教えてくださった」と恩師をしのぶ。創作活動も周囲の勧めで、早くから始めた。「生意気だったせい」と本人は言うが、感性が際立っていたのだろう。両親は離婚し、「責任者」の父とは疎遠になるも、母は舞台を欠かさず見てくれた。

     その母がある時もらした「あなたは私と違うわね」との感想が忘れられない。「個性が異なる、と言いたかったのかもしれません。でも私は『能力がない』という意味に取り、負けん気に火が付きました」。今も炎は燃え続け、創作の原動力となっている。「おしゃぶりを離さない子供と同じ。しがみつく性質なんですね。思えば確かに母とは違います。本当に頭がよく、理性的な人でしたから」

     <私は書くわ。女の、いろいろな苦しみや悲しみを書くわ。ねえ、それでなければ私は救われないもの>(「くれない」)。作中で主人公に、そう語らせた稲子。佐多はこれを「作るわ」に置き換え「カルミナ」を育ててきたのかもしれない。

     5年ぶりの再演は6月16日、東京文化会館。独唱は澤江衣里、中嶋克彦、加耒(かく)徹。踊り手も酒井はなら当代一の顔ぶれだ。坂入健司郎指揮、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団。問い合わせは03・3367・2451。【斉藤希史子】

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 加計学園 地震やW杯日本戦、会見設定を疑問視
    2. 大阪震度6弱 お店、徐々に再開 一部工場で操業停止続く
    3. 大阪震度6弱 ラッシュ直撃 「一緒にいた子が」児童犠牲
    4. ロシアW杯 まさかの一発退場 追い詰められたコロンビア
    5. 大阪震度6弱 休校、ガスや水道停止 日常生活の影響続く

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]