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社説

米国が車関税引き上げ検討 また恫喝を繰り返すのか

 またも「米国第一」を振りかざして、身勝手な理屈を押し通すつもりなのだろうか。

     トランプ米政権が輸入車の関税引き上げを検討すると発表した。乗用車は現在2・5%だが、25%の大幅な追加関税を課す可能性がある。

     鉄鋼などの輸入制限に続く異例の強硬な保護主義政策だ。秋の中間選挙を控え、米国の貿易赤字削減に向けた成果を示したいのだろう。

     巨大な自動車市場から輸入車が締め出されると、鉄鋼よりはるかに影響が大きい。自由貿易体制を揺るがし、世界経済を混乱させる。到底受け入れられない。

     まず問題なのは、世界貿易機関(WTO)が定める国際的ルールに違反する疑いがあることだ。

     米国は、自動車産業は経済の中核であり、その弱体化が安全保障を脅かしている懸念があると主張する。WTOは一方的な輸入制限を禁じているが、安保への脅威が理由なら例外扱いにしているからだ。

     だが例外は有事などに限られるとの解釈が通例だ。米国は戦艦などに使う鉄鋼でも安保を持ち出したが、ルール違反との指摘が多い。自動車はなおさら安保と関係ないはずだ。

     さらに危険なのは、米国が恫喝(どうかつ)的な態度で譲歩を迫ってくる恐れがあることだ。

     トランプ政権は自動車貿易を巡り日本やドイツ、メキシコなどを不公正と批判してきた。関税引き上げをちらつかせ、米国に有利な市場開放などを求めてくる可能性がある。

     しかし日本は関税を撤廃している。米国の批判は筋が通らない。

     また米国はドイツなどに関税引き下げを促してきた。それなのに自国は引き上げようというのは、あまりにご都合主義である。

     超大国が理不尽な要求を突きつければ国際秩序は成立しない。報復を招き、貿易戦争に突入しかねない。

     米国経済にも悪影響を及ぼす。

     乗用車販売の4割強を占める輸入車が値上がりし消費者の負担が重くなる。自動車産業にもマイナスだ。高関税で守られると競争力強化を怠り、結局は弱体化しかねない。

     日本は主要国として自由貿易体制を維持する責任がある。安倍晋三首相は欧州の首脳らと連携して、米国に撤回を働きかけるべきだ。

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