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働き方改革

高プロは「働かせ放題」? 

離脱選べるのか 現場は反発と歓迎

 政府与党は、安倍晋三首相が最重要課題と位置付ける働き方改革関連法案を25日にも衆院厚生労働委員会で採決する構えだ。労働法制の大改革は、実態を踏まえて審議が尽くされてきたのか。働く現場や国会の動きから法案のポイントに焦点を当てる。

 法案で与野党の対立軸は、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)だ。

 企業でコンサルタント業務を担う関東地方の40代の男性は、自身を高プロの対象者と想定している。忙しい時期の平日は午前2~3時まで働き、土曜も出勤するため、ひと月250時間近く残業したこともある。「締め切りが決められ、膨大な量の作業があれば、終わるまで死ぬ気でやるしかない」。自分で仕事量をコントロールできる状況ではない。

 高プロは労働法制上で初めて、労働時間規制をなくす制度だ。「会社による労働時間の管理から外れれば、働かされるだけ働くことにならないか。制度を適用される時には、社員は言われるままにハンコを押すことになると思う」と語る。高プロ適用者は本人の意思で離脱できるという規定が設けられることになったが、「働く側に選択の余地はあるのだろうか」と反発する。

 一方、大阪市の大手の民間シンクタンクに勤める40代の研究員の男性は「導入に賛成」と語る。年に数回公表を迫られる経済リポートの執筆時は、企業や行政機関への取材、統計の分析に時間を費やし、関西の経済予測などをまとめるのに午後10時ごろまで勤務する日が続く。年に4~5カ月は月の残業時間が80時間近くになる。

 普段は定時近くに退社し、忙しい時期との差が大きい。時間ではなく成果で判断される制度が適用されれば、抱えている仕事の量に合わせて、自分のペースで働けるといい「私たちのような職種の実態に合った仕組み」と歓迎する。

 ただ、「運用には慎重さが求められる」とも口にした。「『長時間労働は美徳』という風潮の会社では、高プロが長時間労働や連続勤務を助長し、働き方改革に逆行しかねない」【市川明代、山口知】

「どんな職種でも待遇でも、時間管理なくしてはいけない」

 高プロの対象と想定されている人たちからは、今のところ制度の新設に対して強い懸念の声は上がっていない。ただ、対象業務や年収要件は、国会審議が不要な省令で変えることができる。過労死遺族や労働界からは、将来、要件が緩和され、対象が拡大するのではとの見方も出ている。

 勤務医だった夫を過労死で亡くした「東京過労死を考える家族の会」代表の中原のり子さん(62)は、「専門職だろうが、自分で働き方や仕事量を選べる人は、どれだけいるだろうか」と訴える。

 中原さんの夫(当時44歳)は、東京都内の民間病院の小児科医だった1999年8月、病院の屋上から飛び降りて命を絶った。亡くなる半年前に小児科部長代行に昇進。6人いた小児科医のうち3人が退職し、1日半連続で働く当直に月8回入ることもあった。

 病院にタイムカードはなかった。死後に起こした過労死を巡る裁判には8年近くを費やした。

 高プロは労働時間を管理する必要がなくなる分、過労死しても事後の検証は難しくなる。中原さんは「どんな職種でも待遇でも、時間管理をなくしてはいけない」と強調する。【神足俊輔】

高度プロフェッショナル制度

 高収入の一部専門職を労働時間規制から外す制度。対象は年収1075万円以上の金融ディーラーやコンサルタント、研究開発職など「働いた時間と成果の関連性が高くない仕事」が想定されており、職種は省令で定められる。残業時間に対して割増賃金を支払うという労働基準法上の規定が適用されなくなる。健康確保措置として、年104日の休日取得を義務化した上で(1)働く時間の上限設定(2)終業から次の始業まで一定の休息を確保する「勤務間インターバル」(3)連続2週間の休日取得--などから一つを選択する。適用に同意した人でも、自らの意思で撤回できる規定が加えられる。

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