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中曽根氏

「満100歳にあたり」コメント全文

中曽根康弘元首相=丸山博撮影

 中曽根康弘元首相が100歳の誕生日を迎えた27日に公開したコメント「満100歳にあたり」は以下の通り。

満100歳にあたり

●こうして満100歳という齢(よわい)を迎え、正に遥(はる)けくもかな、の感を強くします。大正、昭和、平成の三つの時代を生き、明年は新天皇陛下のご即位のもとに新たな元号も始まります、新たなる時代への大いなる期待と共に4代を生きることに誠に深い感慨を覚えずにはおられません。

●私が生まれた大正は日本という国が世界に勇躍しようとする時代であり、大正デモクラシーと相俟(あいま)って時代に高揚感がありました。然(しか)るに、昭和に入ると軍靴の音と共に時代は暗転してゆき、ついには太平洋戦争へと突入、あの悲劇的敗戦を迎え、正に国家存亡の危機に直面します。しかし、そのようなどん底から、我々は国民一丸となって世界も驚嘆する奇跡的な復興と経済的発展を成し遂げました。

●敗戦を機に政治の世界に身を投じた私自身でしたが、日本の再興再建のために日本国民と共に立ち上がり、働くことができたことはこの上ない喜びでもあります。こうした時代の変遷に100歳という自分の人生を重ね合わせれば、様々な思いの去来と共に万感胸に迫るものがあります。

●私は政治家となって後、「結縁・尊縁・随縁」を自らの信条として政治の世界を邁進(まいしん)してきました。決して理屈では語れぬ偶然とも言える人との繋(つな)がり、縁によって自らが生かされている、そう考えれば、自分の才や能力も天から授かったものであり、この時代に生まれ、政治家となったことも天命であり、その宿運に感謝し、全力を尽して使命を全うすることこそ、この世に生を受けた御恩に報いる道と精進を重ねてきました。これは人智を超えたものへの畏敬(いけい)の念と共に神仏への感謝にも似た気持でもあります。

●私が今日あるのも多くの方々のご支援のおかげであり、授かった縁と共に様々なお力添えに唯々(ただただ)感謝するのみで、言葉では言い尽くせぬものがあります。

●政治家として国家の発展に何がしかの貢献を成し得たのか、後の世の評価も含め、政治家は常に歴史法廷に立つ被告人であるとの思いで精励努力を重ねてきました。時に政治の現状に対する所感を求められますが、時代が人をつくり、人が時代をつくります。其々(それぞれ)の政治世代が時代の抱える問題と課題に対し政治の責任を自覚し、勇断を以(も)って確(しっか)りと役割を果たしていくべきだと思っています。

●私は政治家となって以後、一貫して憲法改正を訴えてきましたが、国家の青写真とも言うべき憲法は国の将来を考える上でも重要なテ一マです。現在、国は憲法改正の発議に向けて議論を進めようとしていますが、政治は与野党を問わず、国民世論の喚起と共に真に国民参加となる憲法の実現を目指し、国家の基本たるこの課題に真剣に取組んでゆくことを期待しています。国の将来を見据え、現状を改革し、果敢に国の未来を切り拓(ひら)いてゆくことこそ政治の要諦です。

●よく健康長寿の秘訣(ひけつ)を聞かれますが、日々精一杯努力すること、そのためにも規則正しい生活を心掛けています。加えて常にこの世の森羅万象に関心を持つことも大事です。飽くなき探求心と知的好奇心こそ肝要です。

●幼き日、赤城、榛名、妙義の上毛三山を染め上げる夕日に陶然として見入りながら、天の啓示にも似た自然の雄大さに感化され育まれた上州群馬はやはり私の原点です。こうして無事100歳という歳(とし)を迎えることができ、改めて、私を育ててくれた郷士と人に感謝したい気持でいっぱいです。

●「暮れてなお命の限り蝉しぐれ」とは私の拙い句ですが、100歳となった私の強い思いでもあります。その思いは、この国の歴史や伝統、文化が新たな時代へと受け継がれながら、営々として日本人の暮らしが未来に繋がっていくという私の願いと共にあります。

●これからも国家国民の為、郷土の為に精進努力を重ね最後のご奉公に努める所存です。こうして恙(つつが)無く紀寿を迎えることができましたことに対し、改めて皆様のお陰と深く感謝を申し上げます。

平成30年5月27日

中曽根康弘

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