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働き方法案可決

高プロ、懸念払拭されず

衆院厚生労働委員会で働き方改革関連法案の採決に抗議する野党議員ら(右)を横目に一礼する加藤勝信厚生労働相(左)=国会内で2018年5月25日午後5時54分、川田雅浩撮影

 働き方改革関連法案は25日、野党が抵抗する中、衆院厚生労働委員会で可決された。反対の声が根強い「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)の創設については、長時間労働の懸念が払拭(ふっしょく)されないまま、法案は週明けに衆院を通過する見通しとなった。

野党「定額働かせ放題」

 23日の衆院厚労委。国民民主党の柚木道義氏が声を荒らげて「過労死が増える。同じ悲劇を繰り返してはいけない」と、法案から高プロを削除するよう迫った。安倍晋三首相は「(制度の適用には)条件があり、健康を管理して対応していく」と応じず、「高い付加価値を生み出す経済を追求しなければならない。(働いた)時間ではなく、成果で評価する働き方を選択できる制度は待ったなしだ」と強調した。

 自分で働く時間を決め、高い成果を生み出す--。政府は高プロの労働者像をこう描く。しかし、厚労委の審議では、労働者側にとって、その姿からはほど遠い政府答弁が相次いだ。

 労働時間の規制がないことに関連し、国民の山井和則氏は16日の厚労委で「残業が月200時間を超えたら違法か」と質問。加藤勝信厚労相は「直ちに違法ではない」と答弁した。

 高プロが適用される労働者には「年104日以上、4週間で4日」の休日を与える健康確保措置が企業に義務づけられる。ただ、裏を返せば、4日間の休日があれば残る24日は24時間働かせても違法にならない。

 日本労働弁護団幹事長の棗(なつめ)一郎弁護士は指摘する。「高プロ対象者の時間的な裁量や、業務量の裁量は、法案のどこにも書かれていない。働き手は業務命令を断れず、従わざるを得ない」。野党が言う「定額働かせ放題」になるという懸念は払拭されていないのが実情だ。

 また、政府が繰り返し強調し、高プロ導入により高まるとされる「成果」は、報酬に必ずしも結びつかないこともはっきりした。23日の厚労委で、共産党の高橋千鶴子氏が「成果と賃金がリンクすると法案には書かれていないが」と質問したのに対し、加藤氏は「成果給を導入するのかは労使で決めること」と答弁。労働問題に詳しい法政大の上西充子教授は「高プロが創設されても、企業が成果を測ってくれる保証はなく、看板に偽りあり、と言わざるを得ない」と語る。

 「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表世話人は、22日に衆院厚労委であった参考人の意見陳述で「労働者が過労死しても、労災を認定されることは、ほとんど無理になる」と語った。長時間労働が過労死につながったとしても、高プロ対象者には企業側に労働時間を把握する義務がなくなるためだ。寺西さんらは「賠償も受けられず、遺族は泣き寝入りすることになる」と訴え、首相に考えを伝えようと面会を求めているが、それが果たされないまま、法案は委員会で可決された。【神足俊輔、市川明代】

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