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日露首脳会談

「領土」進展遠く 共同経済活動、主権が壁

 安倍晋三首相は26日午後(日本時間同日深夜)、ロシアのプーチン大統領とモスクワのクレムリン(大統領府)で会談した。北方領土での共同経済活動を具体化し、領土問題の進展につなげたい考えだ。だが、活動の前提となる日露双方の法的立場を害さない「特別な制度」導入については協議が難航した模様だ。【モスクワ大前仁、小山由宇】

 会談冒頭、プーチン氏は「最も大切なのは、お互いの関係発展に関心を持つことだ」と呼びかけた。首相は「(2016年12月、山口県の)長門での会談から共同経済活動、(北方領土の)元島民の人道的措置について具体的進展が見られた。この会談でさらに弾みをつけたい」と応じた。

 首相がプーチン氏と会談するのは通算21回目。個人的な信頼関係をテコに、プーチン氏が領土問題の解決に向けかじを切ることを期待してきた。特に今年3月のロシアの大統領選で通算4選を果たした後、領土問題で政治決断を下しやすい環境が生まれるとの分析が日本政府内にあった。だが、変化の兆しは見えず、政府関係者からは「前のめりになりすぎた。ロシアの温度を読み間違えた」との声が漏れる。

 会談では、共同経済活動のうち、ウニの養殖やイチゴの温室栽培などで具体化に向けた協議に入ることを確認する見通し。しかし、「特別な制度」を導入せず、ロシアの主権下で共同経済活動を始めれば、国際社会から「日本は北方領土のロシア支配を認めた」と評価されかねない。

 会談では、北朝鮮情勢についても意見交換。外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を年内に開催し、安保対話を進めることでも合意する方向だ。北朝鮮情勢や中国の軍拡を念頭に、日露関係が緊張し、日本を取り巻く安保環境がさらに悪化することを防ぐ狙いがある。

孤立の露、日本に接近

 「我々は相互に受け入れ可能な譲歩を見つけられるよう試みていく」。プーチン露大統領は25日に外国通信社代表団との会見で、平和条約締結の見通しを尋ねられると、前向きなトーンで切り出した。ただし、このような発言が平和条約交渉の加速化につながる可能性は、それほど高くない。

 会見でプーチン氏は、かつて日本が「日ソ共同宣言」(1956年)に盛り込まれた2島返還の解決策を拒んだことから暗礁に乗り上げた、という持論を繰り返した。具体的な解決策についても「どのようになるのかは現時点で述べられない。それを話せるのならば、もう(平和条約に)署名しているだろう」と語った。

 通算4期目の政権を発足させたプーチン氏が日本との関係を重視する構えを見せる背景には、米露関係が悪化している事情を踏まえ、西側諸国の結束を揺さぶろうとの意図があるとみられる。また、日本との経済関係を拡大し、大型投資を呼び込む狙いもある模様だ。ロシア大統領府が出した首脳会談の資料には「日露間で大型投資を含めた協力を拡大させたい」とあるが、米国がロシアに対する経済制裁を強化する中、日本政府が受け入れるのは容易ではない。日本側は医療協力など米国の反発を買わない小規模のプロジェクトを念頭に置いている。【モスクワ大前仁】

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