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社説

21回目の安倍プーチン会談 長期展望は描けているか

 安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領とモスクワで会談した。3月の露大統領選再選後は初めてだ。

     両首脳は北方領土での共同経済活動の具体化に向けて、7月にも民間調査団を現地に派遣することなどで合意した。

     両氏の会談はこれが21回目だ。もちろん対話を積み重ねることに異存はない。しかし、安倍首相が大きな政治目標に掲げる北方領土問題の解決をめぐる交渉に進展はなく、長期的な展望も見えていない。

     2016年12月の山口県長門市での会談で、安倍首相は歴史的な合意を目指したが、不発に終わった。そこで領土交渉をいったん棚上げし、共同経済活動を通じて信頼を醸成し、平和条約締結を目指すという「新しいアプローチ」に合意した。

     しかし、共同経済活動の前提となる「日露双方の法的立場を害さない特別な制度」の設計すらうまく進んでいない。ロシアが慎重な姿勢を維持しているからだ。

     領土交渉の停滞には国際情勢の影響もある。14年のロシアによるウクライナ・クリミア半島編入に加え、今年3月には英国でロシアの元スパイらへの殺人未遂事件が起きた。旧ソ連が開発した神経剤が使用され、欧州からの対露批判が高まった。

     米露関係もトランプ大統領の登場で以前に増して悪化した。日本の新たなミサイル防衛(MD)システム配備についてもロシアは米国のMD網の一環だと反発している。

     欧米などとの対立を背景にプーチン氏は領土に対する態度を硬化させており、譲歩は容易に望めそうにないのが現状だ。

     一方、今回の首脳会談では北朝鮮の非核化問題も議題となった。圧力重視の日本と対話優先のロシアとでは立場は異なるが、朝鮮半島の非核化という目的では一致する。

     将来の北東アジアの安定のためには日露の存在が欠かせない。共通の利益を深めながら、地域の安全保障に積極的に関与していくべきだ。

     プーチン氏の大統領任期は最後の6年となり、残された期間は限られている。後半は力の陰りも予想され、局面打開には前半の3年間が特に重要な時期となろう。それが現実的に不可能なら「プーチン後」を見据えなければならない。

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