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長いものでこの連載も、今回で20回目を迎えました。去年(2017年)の8月30日に第1回の原稿をインターネット上に公開した時、不安と期待が混ざった複雑な心境だったのを覚えています。今日この連載も最終回を迎えました。最初から付き合ってくださったあなたも、途中からのあなたも、これまで温かいご支持を本当にありがとうございました。
日本と中国は去年(2017年)、日中国交正常化45周年の年を、そして今年(2018年)、日中平和友好条約40周年の年をそれぞれ迎えました。最近やっと日中韓首脳会談が行われ、中国と日本の間にも少し和やかな雰囲気が漂い始めました。しかし、それ以前は両国の関係は決して良いとは言えない状態が続いていました。私は、連載第1回のテーマに“一期一会”という日本の四字熟語を選びました。これは私が日本語を学び始めたころ、意味を知ってすぐに大好きになった日本語の一つです。どれだけ通信の技術が進んでも、結局人は人の温かさや真心に触れないと、自分の心を開く気持ちにはなれないと、私は信じています。私はこの連載そのものを通じて、あなたに一人の普通の中国人女性との“一期一会”を体験してもらいたい、と考えました。そんな気持ちがあなたにちょっとでも伝わったなら、とてもうれしいです。ただ一方で、やはり現実はそう簡単なものではないということも、私自身の体験からわかっています。
ショックな出来事を通じて再確認した人を信じる気持ち
実は最近、あるショックなことがありました。日中関係についての本を書くお仕事の依頼があり、出版を目指して編集者の方と準備を進めていたのですが、原稿が半分以上でき上がった段階で、その会社の偉い方からこう言われてしまったのです。「中国を批判する内容でなければ売れないので、今回の本は出せません」。本の企画が途中で中止になってしまうことは、珍しいことではありません。でも今回は、自分が目指そうとしている両国の懸け橋になるという夢までもが否定されたように感じ、やりきれない気持ちになりました。
どうしても納得できなかった私は、自分のツイッターに正直に自分の気持ちを投稿してみました。すると、予想外の結果が返ってきたのです。直後から落ち込んでいる私を元気づけてくれるコメントが、次々と書き込まれました。「良いことも悪いことも、段さんにしか書けないことを書いて欲しい」「良くも悪くも中国への関心が高まっていることの裏返しだと思って、これからも頑張ってください」。もちろん中には、厳しいご意見もありました。でも、私“個人”を批判したり攻撃したりするものは、ほとんどありませんでした。結果的に、私がツイッターを始めて以降、最も多くの人がツイート欄にコメントをくれて、少し沈みかかっていた私の心をちゃんと元通りに引っ張り上げてくれたのです。
人と自分を信じること
私が、この連載を読んでくれた“あなた”にずっと伝えたかった思い。それは“人を信じる”という気持ちです。日本で暮らして9年になる私ですが、来日当時から今までを振り返って一番強く思うのは、いつ、どんな時でも、誰かが私の支えになってくれたという実感です。本来私は内気で臆病な性格です。そんな私が、最初は言葉も分からず、知り合いもいなかった日本で、何とかまだ夢を捨てずに今も前へ進めているのは、私の周りにいる“あなた”を含めた、たくさんの人のおかげなのです。本のことも含め、時にはどうすればいいのかわからなくなることもありますが、私は自分にうそをつくことだけはしたくありません。迷った時はいつでも初心に帰り、中国と日本、二つの国の懸け橋になること。一期一会を大切にすること。この二つを忘れないでと自分に言い聞かせています。なぜなら私は自分を信じていますし、なにより、あなたのことも信じているからです。
もし今あなたが人知れずつらくて、悲しい気分でも大丈夫。絶対に希望はあります。あなたや私が常に自分と人を信じて進もうとする限り、あなたや私を気にかけ、応援してくれる人が必ずどこかにいるはずです。そんな人を探して、一歩踏み込んで。勇気を出して他者に関わらなければ、何も生まれず、満たすことも、満たされることもなく、誰かの役に立つこともできません。では、私は? 少しでもあなたに、本当の中国の“今”をお伝えできたでしょうか。この連載が終わっても、きっといつかどこかであなたにまた会えるでしょう。私は、どんな時でも希望は無くならないと信じています。

☆お知らせ☆
段さんと一緒に本当の中国を見て、天津豚まんを食べる旅のお知らせです。
今年8月18日から3日間、20名様限定で、著者の段文凝さんと中国・天津の名物料理、狗不理(ゴウブリ)豚まんを食べ、天津動物園のパンダを鑑賞するツアーが行われます。※3日目は北京でのフリータイムとなります。
今年は、日中平和友好条約40周年の年です。本当の中国の今を知り、段さんの“架け橋”としての熱い思いの一端に触れてみては……? こちらのリンクから、さらに詳しい内容をご覧ください。