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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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ストローはもともと麦わらのことで…

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 ストローはもともと麦わらのことで、英語の慣用句で吹けば飛ぶようなつまらないものの代表となっている。だが「一本のわらが風向きを示す」というように、それが重大な出来事の見逃せない予(よ)兆(ちょう)ともなる▲「ザ・ラスト・ストロー」は「最後のわら」。それががまんの限界という意味で使われるのは、重荷を負ったラクダの背骨を折る最後の一本のわらのことだからである。取るに足らないわら一本でも重大な結果につながることがある▲日々、飲み物についてくるプラスチックのストローもその場限りの使い捨て、つまらぬ消耗品として気にかける人は少ない。だが、それが海を汚染するごみとなり、ある生物種の絶滅をもたらす「最後の一本」になるとしたらどうか▲欧州連合(EU)は海洋ごみを減らすためストローや皿など一部の使い捨てプラスチック製品の使用を3年後から禁止する方針という。ことストローについては、すでに英国や米国のシアトル市でも使用禁止の取り組みが進んでいる▲海洋のプラスチックごみへの世界的関心の高まりは、先年ウミガメの鼻につまったストローを取り出す動画がネット公開されたのが一因らしい。海の生物の誤飲しやすいストローが海洋ごみ問題の深刻さを人々の心に焼きつけたのだ▲ある推計では2050年までに海洋プラスチックごみの総重量は全魚類のそれを上回る。「風に向かってわらを投げる」もむだな抵抗をいう英語のことわざだが、ストローから変えられる未来も必ずあろう。

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