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社説

森友文書改ざんで不起訴 国民を欺いた罪は消えぬ

 森友学園をめぐる一連の問題で、大阪地検特捜部が、前国税庁長官の佐川宣寿氏を含む財務省職員ら38人を不起訴処分とした。

 国有地売却に関する決裁文書を改ざんした虚偽有印公文書作成や、国有地を不当に安く売却したとする背任の罪について、「容疑不十分」、もしくは「容疑なし」との判断だ。

 捜査を尽くした結果、公判で有罪が立証できないとして、検察は不起訴としたが、結論は国民の感覚とずれてはいないか。

 改ざんは前代未聞のものだった。14の決裁文書で300カ所以上が削除された。安倍晋三首相の妻昭恵氏や政治家の名、さらに土地取引をめぐる「特例的」などの表現が、交渉経緯とともに削除された。

 特捜部は、不起訴処分にした理由について、こうした削除が「文書の本質の変更」には当たらないと説明した。契約内容や金額などが書き換えられていなかったことを重くみたとみられる。

 しかし、削除は昨年2~4月、当時、理財局長だった佐川氏の国会答弁との整合性を取るため行われた。昭恵氏が関わる部分は、交渉経過において財務省側の忖度(そんたく)があったかなど、国会審議の焦点となっていた。

 最高裁の判例では、公文書の重要な部分が削除されれば、虚偽公文書作成などの罪は成立する。削除された箇所は、決裁文書全体の中で、重要な部分に当たらないか。

 検察内にも立件に前向きな意見があったとされる。特捜部は、不起訴処分としては異例の記者会見を開いたが、国民の納得が得られる説明がされたとは言えないだろう。

 ごみ撤去費を過大に見積もって国有地を不当に安く学園に売却したという疑惑についても、刑事責任は問えないと特捜部は結論づけた。

 告発者側は検察審査会に審査を申し立てる方針だ。刑事責任については引き続き検討される。

 自民党の二階俊博幹事長は「これですっきりして仕事に励んでいただきたい」と、問題が決着したかのような発言をした。だが、国民や国会を欺いた重大な事案である。これで終わりではない。徹底的な内部調査や、改ざんを防ぐための法的措置の検討など、引き続き問題に向き合っていく必要がある。

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