連載

縮む日本の先に

都市部への人口流入の陰で、地方は深刻な過疎化と高齢化に直面している。財政赤字に苦しむ国の支援には限界があり、地方が目指す未来には不透明感が漂う。人口減と向き合う自治体や住民の思いを交えながら、地方が存続するための処方箋を探る。

連載一覧

縮む日本の先に

最期の選択/2 延命拒否、家族受け入れ 間際まで「ありがとう」

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
川原収蔵さんの妻フジエさんは生前、差し控えたい延命治療の内容を記した事前指示書を作成した=愛知県春日井市で、兵藤公治撮影(画像の一部を加工しています)
川原収蔵さんの妻フジエさんは生前、差し控えたい延命治療の内容を記した事前指示書を作成した=愛知県春日井市で、兵藤公治撮影(画像の一部を加工しています)

 「救急車、呼ぶな」。愛知県春日井市の川原フジエさん(当時80歳)は2年前、心臓発作で倒れた際、慌てて119番する夫の収蔵さん(82)に大声で叫んだ。呼吸は荒く、痛む胸を押さえながら必死に訴えた。

 市民病院に運ばれ、何とか命を取り留めたが、体はもう悲鳴を上げていた。6年前から人工透析を始め、心臓にはペースメーカーもある。腎不全の影響で骨がもろくなり、腰も骨折。足腰も不自由になり、トイレや風呂に一人で行くのは難しくなった。好きな食べ物も口にできない。

 何よりつらかったのは週3回、4時間かかる透析だった。弱い心臓に負担がかかり、血圧が急に下がる危機を何度も乗り越えてきた。その上、不整脈と骨折で入退院が続く。「心臓は弱いし、骨はボロボロ。もう無理な延命治療はしないで」と、担当看護師によく漏らしていた。

この記事は有料記事です。

残り1389文字(全文1741文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集