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消えない傷

子どもの頃に性的虐待に遭ったあなたにしか伝えられないことがあります。心身に深いダメージを受けたあなたにとって、つらい過去は忘れ去りたいことだと思います。それでも「なかったことにはしたくない」と思うあなたの声をサイトや紙面で紹介します。

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今苦しんでいるあなたへ 戒能民江さん「安心して声出せる社会を」

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戒能民江さん=遠藤拓撮影
戒能民江さん=遠藤拓撮影

お茶の水女子大名誉教授(ジェンダー法学)の戒能(かいのう)民江さん

 「当事者の声を聞かないで決めないでください」。凜(りん)とした女性の声が会場内に響き渡ったことを、今も忘れることができません。父親からの性虐待被害を生き延びた彼女の魂の叫びのように聞こえたからです。

 2015年7月に国会内で開かれた、被害実態に即した刑法改正を要望する市民集会での光景です。そう、その女性は、この「今苦しんでいるあなたへ」の冒頭に登場した山本潤さん。山本さんたちはその後すぐに「性暴力と刑法を考える当事者の会」を結成して、刑法改正を実現するための活動に取り組みました。

 14年9月、法務大臣就任会見で松島みどり法相(当時)が、性犯罪の厳罰化に言及したことから始まった刑法改正。17年6月の国会で110年ぶりに刑法性犯罪規定の大幅改正が実現しました。改正の過程では、被害者支援を行っている団体や学者などとともに、性暴力被害を受けた当事者の方々の意見を聞く機会も設けられました。でも、刑法改正の歩みはそう簡単ではなかったというのが実感です。

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