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らっこ・アーティスト

クラウド・ルー 台湾の「フォーク」を示す

 “台湾のスーパースター”という言葉で思い浮かべるのはどんな人だろう。テレサ・テンまでさかのぼらずともしっとりとしたバラードを歌いあげる熱唱系歌手が多いのではないだろうか。今、台湾の若者たちに最も人気のあるシンガー・ソングライター、盧廣仲(英名クラウド・ルー)の去年日本発売の5枚目のアルバムのタイトルは「What a Folk!!!!!!」である。「何てフォークなんだ!」という意味だろうか。

     「アコースティックでピュアな自然体のアルバムを作ろうと。今の時代に暮らす若者たちの生活の中でのストーリーを自分なりの解釈で歌いたかった」

     盧廣仲は1985年7月生まれ。2009年には1枚目のアルバム「100種生活」が台湾のグラミー賞、金曲奨で最優秀新人、最優秀作曲賞を受賞、3000人級の会場を立て続けに即完。“瞬殺アーティスト”と呼ばれた。最大級の台北アリーナではすでに4度、日本でも2度の来日公演を行っている。彼に会ったのは、3月に東京で行われた松任谷由実のデビューアルバム「ひこうき雲」発売45年コンサートの会場でだ。インタビューの翌日には一青窈のデビュー15周年コンサートにゲスト出演。生ギターでの弾き語りには、僕らが知っている70年代のフォークとは違う豊かな表情があった。

     ギターを始めたのは学生時代に交通事故に遭い、九死に一生を得た入院中にYouTubeを見ながらだったという独学。見よう見まねで日々の思いを曲にしてゆく。台南の実家まで11日かけて歩いたという自然志向はシンガー・ソングライターならではだろう。

     「日本の音楽の影響は受けていると思います。最初に覚えた歌は祖父や祖母が歌っていた『桃太郎さん』(笑い)。音楽をやるようになってからは椎名林檎さんとかSMAPとかも聴いていました。台湾語でカバーされていた日本の演歌も多いですから、自分の中にもそういうコード進行はあると思います」

     台湾には戦前に日本の統治時代だった歴史がある。古い歌謡曲が今も残っているのはその名残だ。ただ、49年から87年までは時の政権による戒厳令が敷かれ、日本も含む海外の音楽情報は遮断されていた。その一方には「民謡」と呼ばれる先住民たちの生ギターを使った音楽もある。彼の「フォーク」はむしろ、そちらではないかと思った。「フォークソング自体はそんなに聴いたことはないんです。フォークという言葉には人生とか生活、仲間というような意味があるという程度で。僕らの生活を民謡のように歌いたかった。アメリカのフォークソングとは違って聞こえると思います」

     音楽はその国の文化だ。台湾の若者たちの自分探しの象徴的存在。8月にはサマーソニックに出演。秋にはワンマンライブも待っている。(音楽評論家・田家秀樹)

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