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社説

米国がEUにも高関税 世界に摩擦広げた不条理

 世界中を貿易摩擦に巻き込んでまで「米国第一」を押し通すのか。

     トランプ米政権が新たに欧州連合(EU)の鉄鋼などに高関税を課す輸入制限に踏み切った。カナダとメキシコも対象だ。中国や日本には既に発動しており、異例の強硬な保護主義政策を各国に突きつけた。

     EUは米国製品に対抗関税を課すと表明した。米中に続き米欧でも大国同士の報復合戦に突入すると、世界経済は混乱に陥りかねない。

     とりわけ問題なのは、超大国が相手を脅して譲歩を迫る手法だ。

     トランプ政権は米国の貿易赤字削減を掲げる。これまでEUに高関税を猶予したのは、高関税の恒久除外と引き換えに自動車関税引き下げなどをのませようとしたためだ。今後は高関税で圧力を強める方針だ。

     だが相手に市場開放を求めるのなら自由貿易交渉を行うのが筋だ。

     オバマ前政権時の米国はEUと自由貿易協定の締結に向け交渉していた。保護主義的なトランプ政権が発足したため今は凍結されている。再開せず、米国に一方的に有利な条件を要求するのは都合が良すぎる。

     そもそも米国が高関税の根拠に持ち出したのは、安い中国製鉄鋼が米国の安全保障を脅かしているという理屈だ。それなのに同盟関係にあるEUや日本にも発動した。譲歩を引き出すため米国がいかに道理に合わない議論をしているかを物語る。

     トランプ政権は、こうした恫喝(どうかつ)外交をエスカレートさせている。中国には、知的財産権が侵害されているとして制裁関税を今月にも発動する構えだ。さらに自動車の輸入関税を大幅に上げる検討にも着手した。

     いずれも一方的制裁を禁じた世界貿易機関(WTO)のルールに違反する疑いがある。相手国の報復を招き、自由貿易体制を揺るがす。

     しかも今回、EUへの高関税を決めたのは、主要7カ国(G7)が世界経済の課題を話し合うためカナダで来週開く首脳会議の直前である。米国は本来、国際協調をリードする役割を果たすべきだったはずだ。

     日本は主要国として自由貿易体制を維持する責任がある。政府は米国に高関税から日本を外すよう求めているが、それで済ませてはいけない。安倍晋三首相はG7首脳会議で欧州やカナダと撤回を迫るべきだ。

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