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富山から吹く風

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=富山市ガラス美術館で、梅津時比古撮影
=富山市ガラス美術館で、梅津時比古撮影

 風は野を渡ってくる。地から、空からの息のように感じられるのは、私たちの呼吸と同じく、風が膨らんだり、止まったりするからだろう。

 5月の光が富山の風を透きとおらせていた。連峰の頂を白く光らせている名残の雪が吹き下りてくるのか、風をガラスの気泡のようにきらめかせている。

 オーストラリアの女性のガラス造形作家、ハリー・シュワルツロックが富山市ガラス工芸センターの招きで4月初旬に来日、富山市呉羽町に滞在して制作し、「INHALE(深呼吸)」と題する個展を富山市ガラス美術館で開いた(5月13日終了)。

 ガラスの管の切り口だけのような小さな物から、直径10センチほどの円盤状のガラスをいくつも宙につるしたものまで20点が並ぶ。ひとつひとつが透きとおった50個ほどの円盤は、つるす糸の長短によって全体が大きな丸い形を成す。ギャラリーの光がガラスを抜け、背景の白い壁に薄い影を作っている。

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