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演劇

パルコ「ハングマン」 絞首刑制度、ダークな笑いに=評・濱田元子

 やっぱり期待を裏切らない。映画でも注目の英劇作家、マーティン・マクドナー。久々の日本初演作は、英国で1965年に廃止された絞首刑制度を、ダークな笑いたっぷりに俎上(そじょう)に載せた。マクドナーらしい、いずれもクセ者の登場人物を、個性派ぞろいの俳優陣が快演している。小川絵梨子訳、長塚圭史演出。

     舞台は英北西部のオールダム。死刑制度が廃止になった日、英国で「2番目に」有名だったハングマン(絞首刑執行人)、ハリー(田中哲司)が営むパブに、都会的な雰囲気の謎めいた男ムーニー(大東駿介)が姿を現したことが騒動の発端となる。

     鍵となるのが、2年前にハリーが執行した絞首刑。ヘネシー(村上航)は無罪を叫んで死んでいったのだ。

     過去の冤罪(えんざい)疑惑に、ハリーとアリス(秋山菜津子)の15歳の一人娘シャーリー(富田望生)の“失踪”、ハングマンのピアポイント(三上市朗)とのプライドのぶつかり合いが絡まり合い、事態は予測を超えてスリリングに動き出す。

     思い込みで突っ走ってしまう人々。笑えない事態なのに、笑えてしまうのは、人間の心理の虚を巧みについていくマクドナーの真骨頂だ。

     そんな荒唐無稽(むけい)な展開に、リアルな手触りを与えるのが、パブという濃密な空間。4作目のマクドナー演出となる長塚が、常連を演じる大森博史、谷川昭一朗、市川しんぺー、刑事の羽場裕一と、丁寧に空気感を作り上げた。

     田中は、尊大でうぬぼれ屋のハリーをてらいなく演じ、滑稽(こっけい)さもにじむ。大東はムーニーのあやしさと色気をうまく造形し、引き付けた。

     死刑制度を廃止する国が増えるなか、主要先進国のうち制度が残っているのは日本と米の一部の州のみ。笑いの向こうに、社会を分ける問いがチクリとくる。【濱田元子】

    東京・世田谷パブリックシアターで5月19日所見。6月9、10日に愛知・豊橋、同15~17日に京都、同21、22日に北九州公演

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