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平松 洋子・評『日の出』佐川光晴・著

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愚直な男の懸命な生き様に波乱の近現代史が浮かび上がる

◆『日の出』佐川光晴・著(集英社/税別1600円)

 自分の生き方を貫くために、時代と刺し違えなければならなかった男たち、女たちがいた。

 不器用なのではない。拠(よ)って立つ場所をおいそれと明け渡してしまっては、自分が自分でなくなってしまう。その一点を恃(たの)みとしながら人生を切り開いてゆく者たち。彼らの存在は、ともすると時代の波間に埋もれがちなのだが-。

 佐川光晴による長編小説『日の出』が、すこぶる味わい深い。物語の舞台は明治から平成まで百年余、闇を背負いながら生きる市井の人々に光を当て、人生の軌跡の交差を描く。と同時に浮かび上がってくるのは、日本の近現代史の貌(かお)だ。

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