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東日本大震災

福島第1原発事故 農村にぎわい実れ 学生ら稲作体験 避難指示解除の5町村 /福島

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が解除された県内の農村で、地域外の大学生らが稲作を体験し、地元住民と交流するイベントが盛んだ。自治体や住民らが主催し、今春は5町村で400人以上が田植えに参加。長期避難や後継者不足が響き、解除地域の作付面積は事故前の2割に満たない中で、古里再生を目指す農家の励みになっている。【尾崎修二】

     休耕田が広がる浪江町酒田地区。5月19日、水を引いた田んぼに手で苗を植える大学生らの笑い声が響いた。「みんな楽しそうだ。見てておもしれえ」。同町の農家、松本清人さん(79)は笑った。

     学生の稲作体験は町が2年前に始めた。被災地の現状を知ってもらい、地域の活性化につなげることが狙いで、この日は東京や福島などの学生約60人が汗を流した。学生は稲刈りも体験し、11月に開かれる町の祭りで収穫した米を販売する。

     初めて福島を訪れた早稲田大の中島佑陽さん(18)は「農家さんの努力を感じたし、後継者不足など難しい課題も教えてもらった」。松本さんは「農作業を通して、若者たちに何かを感じてもらえたら」と期待する。

     避難指示が解除された地域では、販売目的の稲作が可能になった。県は県産米の全量全袋検査をしており、放射性セシウムの基準値を超えたケースは2017年産まで3年連続でゼロだった。だが、避難指示解除後も住民の帰還は進まず、高齢化や後継者不足の影響もあり、作付けを再開した農家は少ない。15~17年に避難指示が解除された富岡、浪江、飯舘、葛尾、楢葉5町村と南相馬市小高区、川俣町山木屋地区の今春の作付面積は震災前の1%未満~14%にとどまる。

     各地の稲作体験イベントは農作業の後、食事や視察、宿泊などを通じ、住民らと交流するものが多い。

     飯舘村で農業を営んでいた会田征男さん(73)も先月19日、県内外から集まった社会人や学生ら32人と事故後初めての田植えをした。4月に妻と避難先から自宅に戻ったばかり。「食べ物を作っても売れるか分からない」と代々続いた稲作をあきらめ、田んぼはチューリップなどの花畑にするつもりだった。しかし、交流するボランティア団体から田植えを提案され、一念発起。除染事業で凸凹になった田をならし、肥料をまいて苗を準備した。

     「外の人が村に来てくれれば、いつか何かのきっかけになるかもしれない」。収穫するコメは参加者に配り、味わってもらうつもりだ。

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