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英月の極楽シネマ

天命の城(2017年、韓国) 「自力」にすがる悲しき忠臣

 1636年冬、中国・清が12万の大軍で李氏朝鮮に侵攻した「丙子(へいし)の役」。孤立無援の山城で籠城(ろうじょう)を余儀なくされた王とその国の運命を描きます。

     生きる道を選び降伏を説くチェ・ミョンギル(イ・ビョンホン)と、死を覚悟し徹底抗戦を主張するキム・サンホン(キム・ユンソク)。考え方は違えども大義のためにあらゆる手段を尽くす2人の家臣の姿は、まさに「人事を尽くして天命を待つ」という言葉を体現しているようです。

     ところで、明治時代の僧侶、清沢満之(きよざわまんし)は「天命に安んじて人事を尽くす」という言葉を残しました。前の言葉の根拠が「自分の努力」であるのに対して、清沢の根拠は「他力」とも表現される仏さま。他人任せや「棚ぼた」ということではなく、自分の努力をよりどころとする「自力」を超えた大きなはたらきのことです。自力は時に行き詰まりますが、仏さまのはたらきは行き詰まりません。環境の影響を受けたり、その他大勢の価値観にのみ込まれたりすることもありません。だから安心できるのです。

     2人の家臣は、どれだけ努力を尽くしても最後まで不安につきまとわれます。不安の中で天命を待つのは悲しいもの。それは諦めに似ています。「天命に安んじる」ことができたなら、精いっぱい自分がすべきことに尽くすことができます。結果は同じでも、そこへ至る景色は変わるはずです。

     22日から大阪ステーションシティシネマほかで公開。(真宗佛光寺派・大行寺住職)

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