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G7

WTO機能「不十分」 現行ルールに不満

G7サミットに臨む各国首脳。手前右は安倍首相=カナダ・シャルルボワで2018年6月8日(代表撮影・共同)
トランプ米政権の通商政策と各国の対応

 【ケベック(カナダ)清水憲司】日米欧の主要7カ国首脳会議(G7サミット)が通商問題で紛糾したことで、現在の自由貿易体制に課題があることが改めて浮き彫りになった。問題深刻化の背景には農業など各国とも保護すべき産業を抱えていることに加え、世界貿易機関(WTO)の紛争解決機能が不十分という実態がある。G7は課題の解消に向けて協議を続けるが、着地点は見えない。

     「(カナダの)トルドー首相が関税と貿易障壁の撤廃で合意してくれた。感謝する」。トランプ米大統領が8日、サミットの合間に議長国カナダと行った首脳会談。トランプ氏が合意が成立したかのような冗談を飛ばすと、トルドー氏は表情をこわ張らせた。

     カナダは主要産品である生乳の輸入制限を通じて国内の酪農業を保護しており、トランプ氏は日ごろからカナダの対応を批判。首脳会談で冗談を口にしたのは、「カナダも保護主義」と皮肉る狙いがあるとみられる。

     保護主義政策で物議を醸してきたトランプ氏は今回のサミットで「自由かつ公正な貿易」の実現を訴え、世界的な関税・非関税障壁の撤廃や補助金全廃を提唱してみせた。それがけん制になるのは「各国とも地域の特性に応じ、政治的に取り扱いが難しい品目がある」(日本政府同行筋)のが理由だ。

     サミットは、トランプ政権が鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限をG7各国に発動し、欧州連合(EU)とカナダが対抗措置を表明するという緊迫した状況下で開かれた。日本は対抗関税の発動も視野に対応を検討中で、トランプ政権が仕掛けた「貿易戦争」が世界規模に拡大する恐れが高まっている。

     ただ、トランプ政権の輸入制限がWTOのルールに違反する疑いが濃厚なのに対し、EUやカナダの対抗関税はWTOルールに沿った措置である点が大きく異なる。しかし、この日は米国だけでなく、各国からWTO改革を求める意見が出た。

     WTOはルールに基づいた紛争処理を可能にするため、1995年に設立された。しかし、裁判形式で行われる紛争処理は何年もかかるうえ、知的財産権保護など比較的新しい課題についてルールが整っていないのが現状だ。このためG7各国から、知的財産権の侵害など中国の不公正な貿易慣行を抑止することができなかったという不満が出ていた。

     トランプ政権の乱暴な通商政策が結果として、WTO改革を促す契機になる可能性はある。しかし、WTOルールに反する米国と、その他各国が改革の方向性や具体策で合意するハードルは高い。貿易戦争の回避は容易ではなさそうだ。

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