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内田麻理香・評 『人形論』=金森修・著

 (平凡社・3456円)

 以前、プラハで人形劇を鑑賞した。チェコにとっての人形劇は大切な意味を持つ。長年、隣国からの支配を受け続けたチェコは、公用の場でチェコ語を使うことさえ禁じられていたが、人形劇の場だけはチェコ語の使用を許されていたのだ。評者が観(み)た演目は『ドン・ジョバンニ』。クライマックスに、騎士団長がゴーレムの姿をして登場したことに驚いた。ゴーレムはユダヤ教の僧侶が作る人工生命体だ。人間でないゴーレムがさらに人形となり、生き生きと動くという奇妙な構造に心躍らされた。

 今回、取り上げる『人形論』は、二年前に亡くなった科学思想史、生命倫理学を専門とした金森修の遺作にあたる。『ゴーレムの生命論』(平凡社、二〇一〇年)では、先述したゴーレムなどの人間未満の存在から、人間と人間未満の境界を探り、<亜人間>の生命倫理に迫ろうとした。『人形論』はその続編にあたる。対象となる人形は多岐にわたる。土偶、ひな人形、ゴシックドール、自動人形、ラブドール……これらの<亜人間>の分析…

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