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『食べることの哲学』 著者・檜垣立哉さん

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 ◆著者・檜垣立哉(ひがき・たつや)さん

 (世界思想社・1836円)

思索のスパイスで矛盾考察

 ドゥルーズやフーコーらフランス現代思想を専門にする哲学者が、愛する競馬に続いて題材にしたのが「食」。自身の食体験も踏まえた軽妙なエッセーでありながら、深い思索のスパイスで食をめぐる矛盾を考察した味わい深い哲学書だ。「僕のテーマの一つは生命論。命の問題を考える時、人間は『食べる身体』であると同時に『食べられる身体』でもあるということが重要なポイント」と話す。

 おいしい料理を食べる快楽には、植物や動物を殺しているという後ろ暗さが伴う。生き物を殺してはならないという文化的なタブーと、食べなければ生きていけないという動物的な宿命。この矛盾を根本的な主題としたのが宮沢賢治だ。本書では『よだかの星』や『なめとこ山の熊』など賢治が掘り下げた食の哲学の深度を明らかにし、文化と動物性がぶつかるグレーゾーンとしての身体を論じた。

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