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大衆音楽月評

新旧スター交錯の5月=専門編集委員・川崎浩

 5月、歌謡界最大のニュースは、西城秀樹の他界であったことは間違いないであろう。ここ10年以上、脳梗塞(こうそく)のリハビリで苦しみながらの現役生活であり、歌手としての絶頂期は1970、80年代だったとはいえ、西城がどれだけ、歌謡界のフロンティアを開拓したかは歴然としている。録音・録画を今聴いても、その歌唱力・表現力に圧倒されるばかりである。シンガー・ソングライターの時代にあって「歌手」でこれだけ存在感を示せる芸能人がどれだけいることか。その大きな存在感に、今、改めて気が付く。

     西城と同時代を生き、50周年記念活動真っ最中の和田アキ子が、46年4カ月ぶりにシングル曲でトップ10入りを果たした(6月4日付オリコン週間チャート)。和田とBOYS AND MEN研究生のジョイントによる「愛を頑張って」(ユニオン)で10・5万枚を売り上げ、2位を獲得したのである。

     国民的歌手の和田だが、トップ10入りは3曲しかなく、71年6月発売の「天使になれない」の8位がこれまでの最高位であった。「愛を頑張って」の“直近”が、「夜明けの夢」(同年12月発売)の10位で46年4カ月前。北島三郎が持っていた40年6カ月の「インターバル最長記録」も更新した。“ゴッド姉ちゃん”の底力を再認識する。

     ちなみに1位はジャニーズ系6人組「King&Prince」のデビュー曲「シンデレラガール」(57・7万枚)である。ジャニーズ系に久々の明るい話題である。

     この週のオリコンで最も注目すべきは、米津玄師(けんし)の強さである。

     まず、デジタルシングル部門でランキング史上初の1、2位独占を果たした。1位を続けた「Lemon」が2位に降り、2年前の楽曲で前週3位だった「LOSER」が1位に上った。「Lemon」は108万ダウンロードを超え、カラオケランキングでも10週連続1位を獲得。今年上半期、最も歌われた曲になるのは間違いない。

     米津は、カラオケトップ10に「アイネクライネ」「ピースサイン」もランクインさせたが、もちろん、亡き西城も同トップ50に「YOUNG MAN」「ギャランドゥ」「傷だらけのローラ」をたたき込んだ。

     米津は91年3月生まれ。物心ついた頃からパソコンも存在し、デジタル音楽制作からこの道に入った。アニメからカラオケまで視野に置ける柔軟性は持って生まれたもの。進駐軍キャンプが原点の西城が去り米津が現れるとは「時」の絶妙な采配である。新旧のスターが交錯する5月であった。=次回は7月9日掲載

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