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京を拓く

/59 トーセ 異業種とのコラボ加速 /京都

 <The Frontiers of Kyoto>

     ゲームソフトなどのコンテンツの開発数世界一。トーセ(京都市下京区)は、業界トップを快走し続けている。コンテンツの企画提案から開発、運営まで一手に引き受ける一方で、裏方に徹する独自のビジネスモデルを確立。1979年の会社設立以来、無借金黒字経営が続く。トーセを率いる会長の斎藤茂さんは「ゲーム以外の異業種企業とのコラボレーションや、海外展開にも取り組んでいきたい」と熱意を示す。

     トーセがアーケード型の業務用ゲームから家庭用ゲームソフトの開発にシフトした直後の1983年、ファミコンが爆発的にヒットした。当時ファミコンのソフトを手がける会社は少なく「ひっぱりだこになり仕事は急激に増えた」(斎藤さん)。

     「企画から完成までワンストップでできるのがうちの強み。今は開発だけでなくモバイルゲームの運営もやっています。お客さんが求めるゲームを大量に作れて、独立系で、しかも企画提案型の開発企業としても規模が大きいのが強みです」

     転機は1995年1月の阪神大震災だった。兵庫県南部を襲った震度7の都市直下型地震で、災害と無縁と思われていた港町・神戸市が大きな被害を受けた。JC(青年会議所)の京都ブロック会長だった斎藤さんは京都市に集まった物資を神戸へ運び、会社を当時の常務に任せて神戸で陣頭指揮。震災3日後にヘリコプターで乗り込んで物資を配った。炊き出しなど現地でボランティア活動に1年間尽力した。

     「ボランティア活動を通して自分を見つめ直し『ずっと利益が出ていて平和ぼけになっていた』と、はたと気づきました。父の経営する東亜セイコー(本社・大山崎町)の社内ベンチャーでできた会社だし、いつか父の会社に戻って社長になるつもりだったけれど、少し前、会社を設立して13年目に初めて正社員が退職してしまいました。人間にはやりがいと目標が大事。会社の空気を引き締める必要がある。それを演出するには株式上場が手っ取り早いと思いました」

     新京極(京都市中京区)近くの料理店2階に幹部を集め鍋を囲み、「上場する」と宣言した。「やりましょう」。全員が同意してくれた。独学で勉強するために書店に上場の本を買いに行った。「西暦2000年は希望会社が多く、上場しにくくなる」と前倒しで1999年を目標にした。監査法人の予備検査から3年近くかかると逆算し準備。目標通り99年に大証2部に上場できた。上場後、財務健全性ランキングの上位に入り続け、2001年には東証1部上場も実現した。

     「ちょうど企業の不正が話題になっていた時代。規模では東証1部にいけないはずが、向こう(東証)から声がかかった」

     これまで銀行の融資は受けず、全て自己資金で賄っている。「ずっと資金がたまっており、現在の本社ビルなど5拠点も自社所有です。設備投資も年間1億円以下なので自己資金でリスクも少なくやっていけるのです」と斎藤さんは語る。 「究極の目的は永遠に続く会社づくり」と言う斎藤さん。「お客さんの裏方に徹しているので携わった作品のエンドロールに社名は出てこない。でもそうやって裏方であることで、リスクもなく、ずっとロイヤルティーがもらえる。薄利多売ですが数年前のロイヤルティーが忘れたころに入る。だからお客さんのライバルであるメーカーにはならないのです」

     社員に強調しているのは「納期もクオリティー(品質)」ということ。「好き勝手にやるのも良いが、ビジネスは納期に合わせてこそクオリティー」と言い続けている。

     トーセはどのように変貌していくのだろう。

     「ゲーム業界はこれから急速に市場が大きくなることはないと思います。クレーンゲームとか音楽関係とか、これまでと違う業界とコラボレーションして、新しい作品やサービスを生み出したい。東南アジアを含む海外市場やゲーム以外の分野を見据え、多様化し高度化するコンテンツ市場をけん引していく。目指すのは総合デジタルコンテンツ開発企業です」

     斎藤さんは目を輝かす。【篠田直哉】

    「ローリスク・ミドルリターン」

     「裏方としてコンテンツ開発を続けていると、各社から信頼が高まり、お客さんの情報もいち早く入るのが大きなメリット」と語るトーセ会長の斎藤茂さん。「狙うのはローリスク・ミドルリターン」とも言う。

     他業界とのコラボレーションに15年以上前から取り組んできた。「パチンコ、グルメ、ワイン、つり、ネットオークション。ソフトは何でもつながる。いろんな業界をつなげて独自の商品を生み出したい」と話す。

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