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仮想通貨

他人PCで獲得 了解得ず「採掘」初立件

マイニングに他人のパソコンを使う仕組み

 仮想通貨を獲得する「マイニング(採掘)」のために他人のパソコンを無断で使用したとして、神奈川、千葉、栃木などの県警で作る合同捜査本部が、複数の人物を不正指令電磁的記録(ウイルス)供用などの容疑で捜査していることが、捜査関係者の話で明らかになった。少なくとも1人を書類送検し、他に関与した人物を今月中旬までに立件する方針。国内のマイニングはこの1年で爆発的に広まったが、不正使用で立件されるのは初めて。

 捜査関係者などによると、昨秋以降、自身が開設したホームページ(HP)に、閲覧しただけで勝手に仮想通貨「Monero(モネロ)」のマイニングに参加するプログラムを設置。閲覧者が気付かないままパソコンに指示を送り、不正にマイニングをさせた疑いがある。

 合同捜査本部は少なくともウェブデザイナーら3人を捜査。うち1人は今年3月、ウイルス保管罪で罰金10万円の略式命令を横浜簡裁から受けたが、「ネットの広告と同じ仕組みで、ウイルスではない」と否認し、今後、横浜地裁で正式裁判に移行する。

 パソコンに指示を送られてもウイルス感染のような大きな影響は出ないが、CPU(中央演算処理装置)が使われるため、動作が遅くなり電力も大量に消費する。合同捜査本部は、閲覧者の了解を得ていない点を重視し、刑法が定める「(所有者の)意図に沿うべき動作をさせず、または意図に反する動作をさせる」に該当すると判断したとみられる。マイニング参加を明示しているHPは立件の対象外とした。

 プログラムは「Coinhive(コインハイブ)」と呼ばれ、マイニングで得られる報酬の3割を開発者側、7割をプログラムをHPに設置した人が得る仕組み。昨年9月にネット上で公表された直後から、国内では導入するHPが現れ、情報セキュリティー会社トレンドマイクロなどが「悪用事例が後を絶たない」と注意を呼び掛けていた。

 同社が国内でマイニングのプログラムを検出した端末は、2017年1~3月には767台だったが、今年1~3月には18万1376台となっている。

ネット広告と同手法

 今回の事件で使われたプログラム・コインハイブはHPへの導入が簡単で、マイニングが広がる一因にもなった。「HPに広告を掲載しなくても収益を上げられる」とうたい、豪ユニセフ(国連児童基金)の募金用HPにも採用された。閲覧した人が同意すればマイニングに参加し、その報酬はユニセフに入る仕組みになっている。

 手法はインターネット広告と同じだ。例えば宿泊先をネットで探した後、無関係のHPを閲覧中にもホテルの広告が表示されてしまうのは、広告会社が閲覧履歴を送るようパソコンに指示し、閲覧者の関心に合った広告を配信し続けるからだ。コインハイブは、同じ仕組みでマイニングを指示する。閲覧履歴を吸い上げる代わりにCPUの処理能力を供出させる点が異なる。

 合同捜査本部がマイニングを明示していないHPに絞って立件に踏み切ったのは「拒否できる仕組みが広がっている広告と異なり、利用されていると気づくことすらできないから」(捜査関係者)だ。だが、横浜地裁の事件で弁護人を務める平野敬弁護士は「コインハイブだけ悪者にされるのはおかしい」と訴え、全面的に争う構えだ。

 【ことば】マイニング(採掘)

 仮想通貨取引の適正性を保つための計算作業に参加し報酬として仮想通貨を得る行為。鉱脈の金採掘になぞらえて、こう呼ばれている。中央銀行が管理する通常の通貨とは異なり、仮想通貨はインターネット上の台帳に取引を記録することで信頼性を保っている。そのため膨大な計算作業が必要で、貢献した担い手に仮想通貨が発行されている。

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