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SUNDAY LIBRARY

池内 紀・評『火環 八幡炎炎記 完結編』村田喜代子・著

鉄の町の繁栄と衰退を背景に激動の戦後を生きる少女の物語

◆『火環(ひのわ) 八幡炎炎記 完結編』村田喜代子・著(平凡社/税別1700円)

 いまは北九州市などと味けない名前だが、その前は若松、八幡、戸畑、小倉、門司の五市が関門海峡から洞海湾にかけて、覇を争っていた。いずれも石炭と鉄を背景に勃興した。かつて洞海湾を川ひらたと呼ばれる「黒ダイヤ」運搬の平底船がひしめいていた。製鉄所の煙突が戦艦の砲門のように屹立(きつりつ)して、それは戦争のたびごとに数を倍増させ、連日連夜、火と煙を噴き、地鳴りのようにどよめいた。

 長編小説『火環(ひのわ)』は「八幡炎炎記 完結編」と銘打たれている。先に出た『八幡炎炎記』は鉄の町八幡を舞台に、敗戦まもなくのころだった。親方の妻と、手に手を取って広島から駆け落ちしてきた仕立て職人の夫婦。その妻の姉は建具職人の女房で、ひょんなことから孫娘ヒナ子を養育するはめになる。

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