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スケッチ

虚か実か、写された「北朝鮮」

劇団「地点」の劇場で写真展を開いているベク・スンウ。 手にするのは「Blow UP」シリーズの1点=清水有香撮影

 ソウルを拠点に活動するアーティスト、ベク・スンウ(44)の個展が京都市左京区のアンダースローで開催中だ。「今や誰もが写真家になれる時代。僕の写真は真実を語るのではなく、写真で写真を疑う作品だと思っています」と語るベク。北朝鮮で撮影された数々のカットには、自らの視点で加工したものや誰かの手による古い写真も含まれ、現実と虚構のあいまいな境界をあらわにする。

     劇団「地点」と出版社「赤々舎(あかあかしゃ)」による企画。会場は「地点」の稽古(けいこ)場兼劇場で、地下に広がる舞台が展示空間になっている。目を引くのは中央に置かれた一辺約1.2メートルの木製ボックス。壁や床の上に並ぶ大小約40点のフレームはこのボックスを構成する84点の写真の一部だ。会期中、床置きの作品は入れ替わるといい、「ボックスは『移動』の概念を表したもの。移動先によって形を変え、展示が終われば元の箱になり別の場所へ移動する。写真の意味も組み合わせもその都度異なります」。絶えず人や物が動く舞台空間にふさわしく、ボックスも自在に姿を変える。

     展示写真に目をやると、巨大な建物や飛行する米軍機の群れ、少女の笑顔など多様なイメージがランダムに並んでいる。電車の窓のクローズアップなど断片的なイメージも多く、戸惑いさえ覚える。これらはシリーズ「Blow Up」、「Utopia」に新作を加えて再構築したものだ。

     「Blow Up」は2001年に北朝鮮で撮影した写真の一部を拡大したシリーズ。「撮った写真はすべて現地で検閲され、編集されました」。当初、他者の視点が介入した写真に面白さを見いだせず放置していたが、5年後に見返して「細部を拡大することでイメージの意味が変わる」と考えたという。「Utopia」は誰かが撮った北朝鮮の写真を集め、加工したシリーズ。例えば建物を巨大化させたり、背景をプロパガンダポスターのように赤くしたり、「北朝鮮が見せたいイメージを自分なりに解釈した」と説明する。

     「北朝鮮」という物語性の強い被写体にベクは積極的に介入し、新たな文脈を与え、見る者を幻惑する。個展のタイトルは「不完全な判断」。写真に対するベク自身の態度を示すこの言葉は、ベクが提示したイメージを「あなたならどう見るか」と、鑑賞者にも向けられている。7月15日まで。無休。アンダースロー(080・6189・9226)。【清水有香】

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