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子どもみんなで支える

わこう版ネウボラの挑戦/2 「親支援」の視点重視 縦割り解消、担うケア課 /埼玉

 「お母さん、おはようと声をかけながら、一緒にお子さんの体を起こしてあげましょう」。5月上旬のある朝、小学校を休みがちな低学年の女児の自宅で、介護事業所のヘルパーが母親に声を掛けた。ヘルパーと母親が布団でぐっすり眠る女児を起こすと、ヘルパーは女児の着替えを手伝い、母親が用意したパンを女児に食べさせて学校に送り出した。

     和光市のネウボラは必要に応じて家庭内に入り、親に対する家事支援や訪問看護を行う。例えば子どもが不登校になった場合。原因は子どもだけでなく、何らかの事情で朝に子どもを学校へ送り出せない家庭の側に起因することもあるからだ。

     その場合、市の子育て世代包括支援センターのケアマネジャーは、市の独自事業「訪問型サービス」をケアプランに盛り込む。介護保険制度と同様に、将来の自立のために必要なサービスを時間単位で組み込んでいく。

     市は、市内の介護保険事業所のうち、子ども支援のための研修を受けた事業所を市の基準で指定。指定事業所のヘルパーはケアマネらと支援目標を共有し、チームの一員として家庭に入る。親に精神疾患があるようなケースでは訪問看護ステーションの看護師も支援に入ることがある。

     市の担当者は「ネウボラでは『親支援』の視点を重視している。子どもの側だけへの対処では問題は解決できない」と指摘する。

         ◇

     和光市のネウボラは保育所などから小学校への移行期の「つなぎ」にも力を入れる。特に発達に課題がある場合、日常生活を円滑に送るために配慮すべき点が引き継がれないと、環境の変化に対応できず登校を渋るケースもあるからだ。

     市内に住む伊藤千佳さん(仮名、42歳)は2年前、発達が標準よりもゆっくりな長男がトイレでうまく排便できないことなどが気になり、「どうしてこの子だけ」と行き詰まってしまった。

     長男が通う保育所の勧めで市に相談し、同センターを紹介された。同センターのケアマネが市の発達相談に関する窓口を紹介し、家庭と保育所が連携しながら発達を促すケアプランを作成した。伊藤さん自身も長男の特性を理解し、教え方のコツが分かると、長男の小さな変化にも成長を感じられるようになっていった。

     小学校入学に当たり伊藤さんは通常学級への進学を希望したが不安もあった。このため、ケアマネや市地域包括ケア課の担当者は教育委員会に綿密に引き継ぎを行った。ケースによっては同課の職員が入学前後の保護者と学校の面談に同席することもある。

     長男はこの春、就学した。「夫婦では解決できなかった悩みや葛藤も、一緒に考えてくれる人がいることで乗り越えることができる」と伊藤さんは話す。

         ◇

     ケースごとの多様な支援を扇の要として支えるのは、市保健福祉部にある「地域包括ケア課」だ。例えば、生活困窮家庭で障害を抱える親と暮らす子どもの支援など、複数分野にまたがる課題を解決するため、市役所内の部署間や外部機関、民間団体などをつなぐコーディネート機能を担う。

     同課は2014年に新設され、「子ども」のほか「高齢」「障害」の3分野に「総合相談支援調整担当」の職員が2人ずつ配置されている。同じ課内にいる職員同士が相談すれば、複数分野にまたがる課題にも対応できる体制だ。

     子ども担当の職員は、同センターのケアマネが作成した個別の「ケアプラン」が円滑・迅速に実行できるよう調整すると同時に、ケアマネが判断に迷う時にはいつでも相談に乗る。子どもの安全が脅かされているのに親が支援を拒むようなケースでは、職員自らが自宅を訪問して親に支援の必要性を理解してもらう。

     あるケアマネは問題解決に向けた報告や相談のため、子ども担当職員と1日に数回やり取りするという。「悩んだ時に自分だけで抱え込まずにいられ、心強い」と話す。子ども担当職員は「責任をセンターやケアマネだけが負い、活動が萎縮してしまわないようサポートしたい」と語る。=つづく


     ■ことば

    ネウボラ

     フィンランドで1920年ごろに始まった子育て支援拠点で、フィンランド語で「助言する場所」を意味する。妊娠期から就学期まですべての家庭を支援し、産後うつや虐待の減少などに効果が上がっている。

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