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水分補給の知識を学ぶ親子向けイベントで、カフェインゼロのブレンド茶を飲む子どもたち=東京都北区で
アサヒ飲料と細川さんが作成した「カフェイン・マネジメントブック」。シールを貼り、水分とカフェインの摂取状況を把握する
細川モモさん
栗原久さん

 もうすぐ夏本番。体温調整機能が発達していない幼児にはこまめな水分補給が欠かせないが、糖分だけでなくカフェインにも注意を払いたい。過剰な摂取は脳の発育に影響を与える可能性があるからだ。

     子どもの3人に1人がカフェイン入りの飲み物を日常的に口にしている--。大手飲料メーカー「アサヒ飲料」(東京都墨田区)が3月、3~5歳の子を持つ全国の母親約1000人(20~40代)を対象に行った調査で、こんな結果が出た。「国内にはカフェインの摂取基準がないため、子育て世代にも意識レベルのばらつきがあるようです」。調査を監修した予防医療コンサルタントの細川モモさん(35)は、そう解説する。

     ●緑茶、ほうじ茶にも

     母親が飲ませているカフェイン飲料は緑茶(煎茶)が最多。ほうじ茶、ココア、コーラと続く。「緑茶は生活に根付いているため、注意するという意識が低い。ほうじ茶は妊娠中に『鉄分吸収を邪魔しない』として産院で勧められるケースもあり、出産後も習慣として飲み続け、子どもにも飲ませているのでは」と細川さん。

     カナダでは、4~6歳のカフェイン摂取目安を1日当たり45ミリグラム未満とすることを推奨している。調査では、飲んだ量からカフェイン摂取量を算出し、45ミリグラム以上とそれ未満のグループに分けて健康状態を比較した。すると、45ミリグラム以上では「夜中に目が覚める」「だるそうにみえる」という項目で回答数が45ミリグラム未満を上回った。細川さんは「特に疲れが出やすい夏場はカフェイン摂取を控え、しっかりと睡眠を取らせる環境を整えてほしい」とアドバイスする。

     ●脳の発育に影響

     カフェインの取り過ぎは、どんな影響を与えるのか。研究を続ける栗原(くりばら)久・元東京福祉大教授(神経行動薬理学)は「大量摂取は、不安や頭痛、疲労感といった症状のリスクを高める。発育の大事な時期に生活や学習の意欲を低下させてしまうことが懸念されます」と注意を促す。脳の発育は6歳までに大部分が完了する。その脳を刺激するカフェインは、思考力や社会性、人格といった精神機能をつかさどる前頭前野の発育に影響を与える可能性があるという。

     中枢神経系を刺激して眠気を抑えたり集中力を高めたりする効果があるカフェイン。コーヒー豆や茶葉など天然のものに含まれ、昔から「ホッと一息つく時」に飲まれてきた。近年、大量のカフェインを添加したエナジードリンクやサプリメントなどが出回っているが、「肉体労働や知的な活動で低下したパフォーマンスを元に戻す、あるいは低下を防ぐのが本来の使い方」と栗原さん。「保護者や社会のサポートがある乳幼児は、疲れたら眠るだけでいい。そもそもカフェインの必要性はないのです。避けられるのであれば避けてください」

     ●麦茶をこまめに

     では、どんな飲み物が子どもの水分補給に良いのだろう。母子の健康支援に取り組む一般社団法人「ラブテリ」(東京都中央区)の代表理事としても活動する細川さんによると、カフェインゼロのブレンド茶や麦茶がお勧めだ。特に夏場は、汗とともに排出されるミネラル分を含んだものが望ましいという。

     一方で、糖分の過剰摂取にも気をつけたい。冷蔵庫に大きなペットボトルを常備する家庭が増え、外食すればドリンクバーで好きなだけジュース類にありつける。糖分を取り過ぎると生活習慣病の「予備軍」にもなり得るので、カフェインと同時に注意を払いたい。

     飲むタイミングも大切だ。「喉が渇いた」と子どもが言ってからでは遅いかもしれない。一気に飲ませず、起床時や散歩後などの日常行動に合わせ、こまめに与えるといい。細川さんとアサヒ飲料は、1日に取る水分とカフェイン量を把握して管理する「カフェイン・マネジメントブック」を開発した。親子が一緒にシールを貼っていく仕組みで、同社商品の「十六茶」を紹介するサイト内からダウンロードできる。【矢澤秀範】

    カナダ、1日45ミリグラム未満 日本基準なし

     飲み物に含まれるカフェインの量は上の表の通り。文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版」によると、100ミリリットルのコーヒーには60ミリグラム、紅茶には30ミリグラムが含まれている。日本茶は、煎茶やほうじ茶が20ミリグラムの一方、玉露は160ミリグラムと多い。ココアやコーラ飲料については、世界保健機関(WHO)が「紅茶とほぼ同程度」としている。

     国内では、どれだけ飲めば健康に悪影響を与えるかを示す「1日摂取許容量」は設定されていない。海外のリスク管理機関などは、健康な成人で1日当たり400ミリグラム(コーヒーのマグカップで3杯程度)以下なら悪影響はないとしている。カナダ保健省は「子どもはカフェインに対する感受性が高い」として▽4~6歳は1日45ミリグラム未満▽7~9歳は62.5ミリグラム未満▽10~12歳は85ミリグラム未満--を推奨している。

     近年、眠気覚ましなどをうたったカフェイン入りの清涼飲料水やサプリメントなどが数多く発売されている。過剰に摂取しないよう気をつけたい。


    飲み物に含まれるカフェイン量

     (単位はミリグラム。100ミリリットル中)

    ▽玉露    160 ▽煎茶   20

    ▽コーヒー   60 ▽ほうじ茶 20

    ▽紅茶     30 ▽玄米茶  10

    ▽ウーロン茶  20 ▽麦茶    0

     (日本食品標準成分表2015年版から)


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