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看護師

二足のわらじ 住民の健康見守るカフェ開店 石川

能登産の果実を生かしたシロップをかき氷にかける足立秀幸さん(右)と婚約者の土倉菜々香さん=石川県穴水町で2018年6月11日、石川将来撮影

 石川県穴水町に昨春移住した看護師の足立秀幸さん(37)が今月、地元産の果実を生かしたかき氷を出すカフェ「ウミネコパーラー」をオープンした。厳しい医療現場での経験から地域医療の重要性を実感し、訪問看護とカフェオーナーという「二足のわらじ」を履く決断をした。「地元のおじいちゃん、おばあちゃんにも気軽に来てもらい、会話が生まれる空間にしたい」と意気込む。【石川将来】

     茨城県笠間市(旧岩間町)出身。2006年から看護師として働き始め、10年からは長野県松本市の病院で神経内科を担当した。全身の筋力が低下する筋萎縮性側索硬化症(ALS)や筋ジストロフィーの患者と向き合った。

     「シューマイが食べたい」「お酒が飲みたい」。病気でろれつが回らない患者に訴えられても、「先生の許可がないと食べさせてあげられない。ごめんね」と声をかけることしかできなかった。患者の悲しそうな顔を今でも覚えている。「近く確実に死が訪れると分かっているのに、何かを食べるという望みすらかなえられない人生とは何なのかと考えさせられた」。人工呼吸器で延命治療を繰り返す現場にも疲れた。

     「もっとゆっくり人と関わりたい」。そんな頃、かき氷の食べ歩きが趣味という男性と出会った。男性には「かき氷屋をやりたい」という思いがあったが、心臓に重い障害があり、かなわなかったという。「いつか自分が、と漠然と感じた」と足立さん。かき氷の道具をそろえ、地元の野外イベントで出店し始めた。一方で、在宅医療について勉強するため、16年4月に金沢医科大大学院に入学。新たな道を模索した。

     同年夏、在宅医療の勉強会で穴水町を初めて訪れ、潮騒の道から見える夕日の美しさに魅力を感じた。仲良くなった地元の人に期間限定のかき氷販売を勧められ、さらに、かき氷を食べに来た客に同町新崎の空き家を紹介された。昨年5月に移住。豊かな自然環境や地元の果樹園の果実に触れ、敷地内の納屋を改装してウミネコパーラーを開くことにした。

     今後、月~木曜は七尾市内で訪問看護の仕事を続け、週末にカフェを営業する。かき氷のシロップは無添加・無着色で、イチジクやブルーベリー、洋ナシなど、全て能登産の果実を使用。移住仲間として出会った婚約者の土倉菜々香さん(19)のサポートを得て、地元産のかぼちゃを使ったマフィンなども出す。

     周辺はボラ待ちやぐらに近い閑静な集落。観光客に憩いの時間を提供するだけでなく、近所の人たちの健康を見守る場にもなる。入り口には車いす利用者のためのスロープを付けた。足立さんは「医療の経験を生かせる場は病院だけではないことを示したい」と話す。

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