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ロシアW杯

サッカー 開幕 西野、Jチャンスある ジーコ氏「基礎を確実に」

=藤井達也撮影

 <Russia 2018 WorldCup>

     サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会が開幕を迎えた。14日の1次リーグA組、ロシア-サウジアラビア戦で1カ月にわたる戦いがスタート。6大会連続6度目のW杯出場となる日本代表は、2010年南アフリカ大会以来の決勝トーナメント進出を狙い、まず19日にコロンビアと1次リーグH組の初戦を行う。

     日本代表の現状や、今大会での課題や期待を、かつて日本代表を率いた目はどう見ているか。ブラジル代表の伝説的選手で、06年ドイツ大会で日本代表の監督を務めたジーコ氏(65)に聞いた。【聞き手・大谷津統一】

     --今大会の日本代表の陣容をどう評価しますか。

     ◆ここ数年、日本のサッカーを生で見る機会が少なく、ブラジルでは放送されていないので発言するのは難しい。ただ、マスコミ、国民が「サプライズがない」と言うのは、逆に、正しい選択がなされたと解釈できるのかもしれない。

     --西野朗新監督の下で初の実戦となったガーナとの国際親善試合(5月30日)を観戦しましたね。

     ◆代表監督は3バックでやりたいのか、4バックでやりたいのか、自分の哲学に沿って選手を選ぶことができる。私は横パス、バックパスを嫌うタイプの監督で、ボールを前へ運ぶ意識をもった選手をそろえるようにしていた。西野監督は信念の下で選んだと思う。

     違和感を唯一覚えたのは、長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)を3バックの一角に入れたことだ。リベロとして置くのならばわかるが、3バックには本職のセンターバックを入れなければいけない。代表の内部にいないので狙いや戦略は分からないが、長谷部個人の特徴は知っているので、あそこは適任、適正ではないと感じる。

     もう一つは横パスが多かった。高いクロスも(上背のない)日本人選手の特徴を考えれば多すぎた。

     --日本代表は決定力不足という課題を克服できていません。

     ◆まずは反復練習しかない。現代サッカーでは狭いスペースでのボール回しを重視するが、指導者はクロスを送る、シュートを打つという基礎を忘れている。日本代表監督の頃、選手がシュート練習で小学生のようなボールしか蹴れず、枠に行かないという問題があった。クロスも適当にボールを蹴るのではなく、ピンポイントに狙ったゾーンに蹴らなければいけない。

     シュートも正しい動作でできているのか、GKを見ているのか、体勢やバランスを保って動けているのかを意識しなければいけない。基礎を確実にしなければちゃんとしたボールは蹴れず、枠にも行かない。

     --日本代表に限らず、どのような練習を心掛けるべきですか。

     ◆たとえば岡崎慎司(レスター)はヘディング、クロスに突っ込むのが特徴だが、ガーナ戦でそういう状況はゼロに近かった。香川真司(ドルトムント)は司令塔でフィニッシャーでもあるが、決定的なシュートを一本も打っておらず、特徴を発揮できていなかった。

     現代の指導者は欧州のトップクラブを見てボールをつなぐことを重視するが、ゴールを目指して取る、そしてシュートやクロス、パスをするという二つの基礎的な要素を忘れがちだ。

     いま世界で一番強いチームはレアル・マドリード(スペイン)だ。ある欧州チャンピオンズリーグの試合の前日、選手はジダン監督の指示下で、ポストプレーからボールを受けてミドルシュートを打ったり、クロスに対してゴールに近い位置や遠い位置に走り込んだりという練習を徹底的にやっていた。ロナルドはシュート練習も70本以上蹴っていた。レアルは個の能力が高いが、選手が「ここに来た時には、誰がどこにいるのか」を把握している。そこで信頼関係を作り上げるから、得点が生まれる。

     --ブラジル代表の現状は。

     ◆非常に順調な仕上がりだ。あとはネイマール(パリ・サンジェルマン)が順調にプレーできれば上乗せを期待できる。決勝には進めるのではないか。(準決勝で敗退した前回大会の)2014年と違い、ネイマール以外の選手はクラブでの良い状態から代表に合流できている。

     --日本代表にどのような成績を期待しますか。

     ◆1次リーグH組の4カ国ともにW杯の経験、成績は未知数だ。コロンビアは(8強入りした)14年ほどのチーム状態にはない。ポーランドはレバンドフスキ頼みという状態になってくる。セネガルはマネが非常に良い状態だが、チーム力では疑問符がつく。日本もW杯の経験値があるので1次リーグ突破は可能ではないかと思うが、不安要素はキープレーヤーがいないことだ。

     --日本で活躍が期待できる選手は。

     ◆ガーナ戦の前半では宇佐美貴史(デュッセルドルフ)がチャンスを作ることができていた。欧州で名の知られている本田圭佑(パチューカ)、岡崎、香川にはマークが徹底されるかもしれないが、その3人をおとりにしつつ大迫勇也(ブレーメン)、乾貴士(ベティス)、宇佐美などが活躍する可能性は考えられる。


     ■人物略歴

    ジーコ

     1953年生まれ。フラメンゴ(ブラジル)、ウディネーゼ(イタリア)で活躍したMFで、Jリーグ草創期には鹿島でプレー。ブラジル代表では78、82、86年のW杯3大会に出場した。監督としては日本代表を2006年ドイツ大会に導いたが、1分け2敗で決勝トーナメント進出を逃した。

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