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社説

参院「合区」救済法案 仲裁を拒む議長の不見識

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 参院選挙区の「合区」ではじき出された現職議員を救済する公職選挙法改正案を自民党が国会に提出した。野党の反対を押し切って、今国会で成立させる構えを見せている。

     合区に問題があるからといって、比例代表の定数を増やして「特定枠」を設けるというのは「裏口入学」を認めるようなものだ。野党の多くが「国民の理解が得られない」と反対しているのは当然だ。

     驚いたのは、民主政治の土台をなす選挙制度をめぐり、与野党の合意形成に力を尽くすべき立場にある伊達忠一参院議長が野党の求めた仲裁をあっさり拒んだことだ。

     そもそも合区は「1票の格差」を是正する暫定措置であり、2015年の公選法改正時、19年参院選へ向け抜本的な見直しを行うことが付則に定められている。

     与野党の主張の隔たりが大きいまま参院選まで残り約1年となったが、これまで議長が調整に動いた形跡はない。今週になってわずかに2回、各会派から意見を聞いただけで協議を打ち切るというのは、議長の責任を放棄したに等しい。

     伊達氏は当選回数が3回で、閣僚経験はない。にもかかわらず、自民党内の派閥の力学で議長に選ばれた経緯がある。

     選挙制度改革という重大な議題で三権の長にふさわしい見識を示すことなく与党の言いなりになるようでは、「良識の府」を掲げる参院の権威をおとしめることにならないか。

     同様に選挙制度が焦点となった00年当時の斎藤十朗参院議長は違った。次の参院選まで1年を切る中、比例代表に現行の「非拘束名簿式」を導入する公選法改正を強行したのが自民党だ。斎藤議長はあっせん案を与野党に提示したが、自民党と対立し、議長辞任に追い込まれた。

     伊達氏は80歳で迎える来年の参院選出馬に意欲を示している。そのため自民党の公認を得たい思惑が働いているのだとしたら、議長としての責任感は斎藤氏と比ぶべくもない。

     参院は「衆院のカーボンコピー」などと批判されて久しい。

     問われているのは、投票価値の平等という憲法の要請と参院のあり方をいかに整合させるか、だ。それを正面から論じないのであれば、国民の視線はますます厳しくなろう。

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