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今週の本棚

本村凌二・評 『十五の夏 上・下』=佐藤優・著

 (幻冬舎・各1944円)

人生をふりかえらせる力

 十代半ばころの団塊世代にとって、ソ連といえば『ドクトル・ジバゴ』だった。詩人パステルナークの小説でノーベル文学賞に選ばれたのだが、受賞すれば祖国に戻れないという政府の圧力で作家は辞退する。原作を読んだかはともかく、数年後に映画化されたので、それを観(み)た青少年は少なくなかったはずだ。

 それから十数年と経(た)たない一九七五年、十五歳の高校一年生が夏休みの四十二日間に独りでソ連・東欧圏を旅行したのだ。それだけでも事件である。決意したマサル少年もさることながら、資金援助をして許した両親もなかなかのもの。もっとも、横浜港に帰り着いて電話をしたら、とにかく大宮の自宅までタクシーで帰ってきなさい、と母親の命令である。わが子の旅行中、心配のあまり何度も寝込んでいたというから、なるほどと涙…

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