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鴻巣友季子・評 『文学とアダプテーション ヨーロッパの文化的変容』=小川公代ほか編

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 (春風社・3456円)

“貞淑”と“裏切り”表裏一体で息吹く

 先ごろ、林真理子による『風と共に去りぬ』のリメーク版『私はスカーレット』の連載が開始され、橋本治による『おいぼれハムレット』を第一巻とする『落語世界文学全集』の刊行が始まった。一方、池澤夏樹編『日本文学全集』でも古典名作の現代語訳が着々と進んでいる。こうして現代を代表する語り部たちが古典の大がかりなアダプテーション(翻案、改作、映像・舞台化など)に取り組んでいるのは、日本で世紀の境目から続いてきた古典新訳ブームが、次段階に入ったことを示すのではないか。

 近年、「翻訳」は原作の下位ではなく同等以上の創造性をもち得ると言われるようになった。次は、“忠実な”翻訳より下に見られがちなアダプテーションを正当に論じる学問領域が必要だ。この分野のヨーロッパに特化した十三人の論稿をまとめて読める有難い本が『文学とアダプテーション』である。編者の小川公代は「序文」で、繰り返し論じられる原作への忠実性と再創造という問題を提起する。オリジナリティーとは何? ここで著…

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