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卵焼き弁当×山谷・まりや食堂 160円がつなぐ命

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イラスト・佐々木悟郎
イラスト・佐々木悟郎

 簡易宿泊所が並ぶ東京・山谷に小さな弁当屋がある。名前は「まりや食堂」という。

 開店前の夕方、教会の1階にある店に白髪交じりの男たちの行列ができる。「いらっしゃい」。牧師で食堂代表の菊地譲さん(77)がステンドグラスの扉を開けた。

 いつも列の先頭にいる男性(68)は7年前からの常連だ。父の顔と名前を知らない。地方を転々としながら働き、山谷にたどり着いた。今は離れたまちで暮らすが「顔を見るとやすらぐ」と電車とバスを乗り継ぎ弁当を買いに来る。

 菊地さんは東京五輪で日本が沸いた1964年ごろ、山谷で暮らす子どもに勉強を教え、簡易宿泊所の厳しい生活ぶりを知った。会社員を辞めて青山学院大大学院で神学を学んだ。「働く人たちと苦しみをともにしよう」。日雇い労働を10年続けた。

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