サントリー食品インターナショナルは19日、ペットボトル入りコーヒー「クラフトボス」シリーズ(500ミリリットル)の新商品「ブラウン」を発売する。2017年4月の「ブラック」発売から1500万ケース(24本入り)以上売れたシリーズ開発の裏側に迫った。【岡部恵里】
ターゲットを絞り込み
「当初のターゲットは漠然と『缶コーヒーをあまり飲まない若者』でした」。同社ブランド開発第2事業部の桜井弓子さんは、開発当初をこう振り返った。若者受けを考え、おしゃれなパッケージで売り出せば短期のヒットは望めたものの、息の長いヒット商品を生み出したいと、ターゲットをさらに絞り込んだ。開発チームは民間研究機関のデータから、働く人の数が1990年代以降産業別でどう変化したかを推計。情報・サービス業を含むIT業界だけが伸びていることに気づいた。またIT業界で働く人たちの大半が、缶コーヒーを購入しないことも分かった。「ようやくターゲットが『ITワーカー』に決まりました」(桜井さん)
“ちびだら飲み”を追求
ITワーカーがコーヒーを飲まないわけではなかった。コンビニが販売するコーヒーは好まれていた。ただ、コンビニコーヒーはそれほど量が多くない。「何度もコンビニで買い足すのは面倒」という声も聞こえてきた。PCにこぼさないようふた付きの容器に入ったものが好まれる傾向も分かった。そこで新商品は、「大容量500ミリでふた付きのペットボトル入りコーヒー」と定まった。
味わいは、ITワーカーの働き方を参考に、デスクワークの合間に少しずつ飲む“ちびだら飲み”に適したものを追求した。ITワーカーにコンビニコーヒーの好む点を聞いたところ、ひきたての香りよりも、氷が溶けたぐらいの状態の味わいが人気だと分かった。新商品は、長時間飲んでも飽きない、すっきりした味わいに仕上げた。「実はブラックコーヒーが苦手」という桜井さんも「これなら飲んでもらえるんじゃないか」と思う出来だった。
「ボスおじさん」がいても“インスタ映え”
パッケージにもこだわった。すっきりした味わいをイメージし、中身が見える透明のペットボトル容器とラベルを選択した。洋酒の瓶を参考に「ボスおじさん」として親しまれるロゴは容器に凹凸で施した。桜井さんによると、17年4月の「クラフトボス ブラック」販売まで約3年を費やしたという。販売開始後、想定していなかった女性からの支持が急増。写真共有アプリ「インスタグラム」には、飲みかけのボトルが数多くアップされた。
他社との競争が激化
サントリー食品が先駆けとなったペットボトル入りコーヒー市場には他社も次々と参入している。日本コカ・コーラは、「ジョージア ジャパン クラフトマン」シリーズを18年5月から発売。18年3月に参入したUCC上島珈琲はカフェインレスの商品などを展開し、他社との差別化を図る。
迎え撃つサントリー食品が打ち出すシリーズ第3弾が「ブラウン」だ。コンビニコーヒーを飲む人の約3割がブラックにミルクやシロップを入れていたことから、濃すぎることも甘すぎることもない味わいに勝負をかけた。
調査会社「富士経済」によると、ペットボトル入りコーヒーの18年の出荷額は2172億円で前年比約2割の伸びが見込まれている。各メーカーが今後どのようにしのぎを削るのか。コーヒー党にとって目が離せない状況が続きそうだ。



