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海のプラスチックごみ 危機感持って対策促進を

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 日本は深刻化する海のプラスチックごみ対策に後ろ向きだ。世界からそう受け止められかねない。

 カナダで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)で「海洋プラスチック憲章」がまとまった。海のプラごみを減らすため、産業界と協力し、2030年までにすべてのプラスチックを再利用や回収可能なものにすることなどを目指すとした。

 ところが、憲章への署名は英独など5カ国と欧州連合(EU)にとどまり、日米は加わらなかった。市民生活や産業界への影響調査ができていなかったと、政府は説明する。

 だが、海のプラごみは新たな地球環境問題としてG7の主要課題となっていた。政府は危機感を持って国内対策を促進しなければならない。

 国連によれば15年の世界のプラごみ発生量は約3億トン。毎年800万トンが海に流出し、その半分は中国とインドネシアなど東南アジア4カ国に由来するという。また、日本からも数万トンが流出しているとの試算がある。海洋国日本が、各国と連携して対策に取り組むことは当然だ。

 海のプラごみで注目されているのが、大きさ5ミリ以下のマイクロプラスチックだ。プラスチックが紫外線や波の作用で砕かれてできる。洗顔料などに使われる微粒子(マイクロビーズ)もその一種だ。

 海水中の有害物質を吸着しやすい性質があり、魚や貝が誤って食べると、食物連鎖を通じて生態系や人体に悪影響が及ぶ心配がある。

 このため欧州では、ストローなど使い捨てのプラスチック製品を禁止する動きが急速に進んでいた。

 日本は今国会で、マイクロプラスチック対策を盛り込んだ改正海岸漂着物処理推進法が議員立法により成立した。だが、民間企業にマイクロビーズの使用抑制を求めることが柱で、プラスチック製品の禁止などには踏み込まなかった。これでは抜本的な対策にはならない。

 政府は今後、「プラスチック資源循環戦略」を策定し、プラごみの削減を目指すという。対策の効果を上げるには、使用量削減などの数値目標を戦略に書き込む必要がある。

 国民への啓発も極めて重要だ。

 プラスチックの乱用や無責任な投棄がもたらす悪影響を認識することが、対策の大前提だからだ。

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