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児童虐待の緊急対策 専門職の大増員が必要だ

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 政府は児童虐待への取り組みを強化するため関係閣僚会議を開き、緊急対策を実施することを決めた。

 東京都目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5)が継父から殴られ、ほとんど食事をもらえず死亡した事件がきっかけだ。

 虐待で命を落とした子どもは2015年度だけで52人に上る。今回のように児童相談所が関わりながら防ぐことができなかったケースも多い。抜本的な改善策が必要だ。

 結愛ちゃんは今年1月まで暮らしていた香川県でも、継父からの暴力で児童相談所に2回保護されている。東京のアパートに転居した後、香川県の児相から連絡を受けた品川児相の職員が家庭訪問をしたが、結愛ちゃんに会えなかった。

 虐待をした親が児相から逃れるために別の地域へ転居することは珍しくない。異なる自治体や児相の情報共有、警察など関係機関との連携の重要性は以前から指摘されてきた。

 ただ、どのくらい実効性のある連携になっているのかが問題だ。今回も香川県の児相は「緊急性の高い事案として継続した対応を求めた」と言うが、品川児相は「そのような説明はなかった」と否定している。

 16年度に全国210カ所の児相が対応した虐待は12万件を超え、この10年で3倍以上に増えている。国や自治体は児童福祉司の増員を図ってきたが、16年度は約3000人で、10年前の1・5倍程度に過ぎない。

 政府は19年度までに550人の増員を計画している。それでも虐待の急増には追いつかない。職員は疲弊しており、他自治体からの引き継ぎに十分対応できないのが実情だ。

 香川県の児相は結愛ちゃんを保護しながら、継父の元に戻した。親子関係の修復を重視するのはわかる。そのためには虐待する親の教育や更生が十分になされることが必要だ。虐待を繰り返す親には一時保護を解除した後も専門的な支援が継続されなければならない。

 こうした実務を担うためには経験を積んだ職員が必要だが、児相の現場では勤務経験が3年未満の職員が4割を占めるといわれる。

 現在の体制では増え続ける虐待に対応するのは困難だ。大幅な体制拡充と専門性の高い職員の養成が求められる。

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