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100年カンパニーの知恵

膨大な同業者が退場していった中で、彼らが日々を重ねられた理由は何か。幸運や巡り合わせというだけでは見過ごしてしまう細部があるに違いない。その知恵を広く共有すべく、じっくり語っていただいた。

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100年カンパニーの知恵

五島軒(北海道)/中 レトルトカレー商機

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接収などの暗い過去も乗り越え、今に味と歴史を語り継ぐ五島軒の本館=北海道函館市で
接収などの暗い過去も乗り越え、今に味と歴史を語り継ぐ五島軒の本館=北海道函館市で

 <since 1879>

味はとびきり 値段は手ごろ

 暗い戦争の時代、そして終戦を迎えた1945(昭和20)年。北海道函館市の五島軒本館は進駐軍の接収を受け、以後5年もの間、本館が使えない状態が続くが、この間も「店はなくてもコックはそろっている」と、進駐軍向けの料理作りに加え、コロッケやカレールーなどの総菜を作っては市民向けに販売した。外国船にパンや料理を配達した創業期の伝統が店を救い、「味はとびきり、値段は手ごろ」の五島軒の評判はさらに広まった。

 50年に接収を解かれた五島軒は高度経済成長の波に乗り、函館市内に次々と支店や食堂を展開していくが、70年代後半以降、地域の経済を支えてきた北洋漁業の衰退とともに函館にも「斜陽の時代」が訪れ、人口は次第に減少。特に若年層の目減りは激しく、一時は年間300組に達するなど売り上げの主軸だった「婚礼」の件数も、みるみる右肩下がりとなっていった。

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