岡原功祐

自傷する少女の写真集 心の悲鳴に寄り添う瞳

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 「写真を撮るというのは、(被写体の)存在を肯定する行為だと思うんです」。京都在住の写真家、岡原功祐(こうすけ)(38)はこう話す。自傷行為を繰り返す女性たちを取材したフォトドキュメンタリー『Ibasyo-自傷する少女たち“存在の証明”』(工作舎、3024円)を今春刊行した。一人一人のストーリーをつづった文章とモノクロ写真約60点から成る本書は単なる記録を超え、「人間の尊厳とは何か」と心の奥底に問いかけてくる。

 きっかけは知人女性の一言だった。「私には居場所がない」。泣きながら自傷行為を打ち明けられた。「僕自身、昔から集団になじめない性格で、独学で写真を始めた頃もどこか所在なさを感じていた。『居場所』はいじめや自殺など現代の日本を表すキーワードだとも思い、テーマにしようと決めました」。まずは自傷する当事者のことを知ろうと2005年にインターネットで取材相手を募り、「自分を見つめ直したい」「誰かの役に立て…

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