連載

坂村健の目

東洋大情報連携学部(INIAD)の坂村健学部長が科学の視点でつづるコラム。

連載一覧

坂村健の目

軍事研究、リアルな葛藤

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 先ごろ「グーグル 人工知能(AI)利用に関する原則示す 兵器などに使わない方針」というニュースがあった。グーグルが米国防総省とAIの研究開発契約を結んだことに技術者が抗議の退職をし、それに応えて会社として正式な原則を表明したのである。

 その原則とは「全般的に害を及ぼす、またはその恐れのある技術、害を与えることを目的とした兵器、国際的に受け入れられている規範に反する監視技術、広く認識されている国際法や人権の原則に違反する技術を開発しない」というもの。原則の割に冗舌なのは「害を与えない兵器」を考慮に入れるべきだという葛藤があったからだろう。

 学問研究は本質的に、扱い方によって平和目的にも軍事目的にも利用される両義性を持っている。例えば大規模な救急救命--特に東日本大震災のような情報が錯綜(さくそう)し混乱する現場では、災害医療支援AIは多くの命を救うはずだ。しかし非日常の現場でのデータは日常で得られず、データが足りずにAIを教育できないというジレンマがある。そういう研究では「非日常が日常」の戦場でのデータが使えれば大きく役立つだろう…

この記事は有料記事です。

残り694文字(全文1166文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

ニュース特集