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焦点・働き方改革

首都圏・総合病院の医師悲痛 当直明けも分刻み 「長時間労働、野放し状態」

当直明けの朝、疲労を抱えながら入院患者を巡回する男性医師

 働き方改革関連法案には、終業と始業の間に一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」が努力義務として盛り込まれた。医療現場では、医師や看護師の過労は医療の質の低下やミスにつながるとして、制度の必要性が叫ばれている。首都圏にある総合病院で、医師の働き方を追った。【市川明代】

     午前7時15分に起床した当直勤務の男性医師(43)が、疲れ切った表情を見せた。この病院の当直は2人体制。夜間・休日の救急患者は多く、仮眠はほとんど取れない。

     前夜に男性医師は、3カ月の乳児の頭部打撲の診察、食物アレルギーの患者への対応が続いた。さらに救急搬送された高齢者の入院措置、血圧が低下しショック状態となった入院患者への処置……と追われ、休めたのは午前4時半。「患者さんの前で眠そうな顔はできないですよね」と言う。

     当直明けも分刻みのスケジュールが待つ。午前9時15分、研修医の受け持ち患者の治療経過を確認。「この患者さん、こんなに薬必要?」「見逃すと、何年か後にがんで亡くなってしまうということもある。ここはしっかり調べたほうがいい」。医師の卵たちに、かみ砕いて説明する。

     午前11時過ぎ、入院患者の家族との面会。高齢で衰弱が激しいため、最善を尽くしつつ無理な延命措置はしないことを確認する。

     同20分、透析導入に向けた手術を翌日に控えた男性と面談。術後合併症の可能性などについて伝え、同意書にサインを求める。

     20分後、自身が主治医を務める患者を巡回。午後0時半、担当科の医師を集め、患者の治療方針を協議する。

     一息ついたのは午後2時前。その後も午後8時近くまで、カンファレンス(会議)などに追われた。「さすがに疲れました。36時間、同じパフォーマンスを維持するのは不可能です」。当直明けに外来診療が入っている日は精神的な負荷も増す。当直は月5回程度。疲労を引きずったまま次の番が回ってくる。

     厚生労働省は「医師の宿直」について「ほとんど労働する必要がない」場合に限り、労働時間に含まないものと認めている。だが、当直の医師がほとんど寝ずに働いていても、残業代や夜間の割増賃金が支払われず、労働基準監督署から未払いを指摘されるケースが相次いでいる。医師の働き方改革を進めるには、医師の確保や診療報酬引き上げの議論が避けて通れないため、後回しになってきた。

     男性医師は言う。「ほとんどの医師は、長時間労働を野放しにされた状態で患者を診ている。このままでいいはずがありません」


     ■ことば

    勤務間インターバル制度

     働き方改革関連法案では、労働時間等設定改善法の「事業主の責務」の一つに、勤務間インターバルの確保を位置付けた。厚生労働省の2017年の調査では、制度の導入済み企業は1・4%にとどまり、同省は「過労死防止大綱」の改定案に、導入企業の割合を20年までに10%以上とする数値目標を盛り込んだ。同省の「医師の働き方改革に関する検討会」も、「緊急的な取り組み」として、当直明け勤務の負担緩和や勤務間インターバルの導入を検討するよう求めている。

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