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社説

独仏のユーロ圏予算構想 財政統合の歴史的な実験

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 欧州の統合を次の段階へと押し上げる歴史的合意となるのか。マクロン仏大統領とメルケル独首相が会談し、統合の「新たな一章」を開く合意に達したことをアピールした。

     その要となるのが、単一通貨ユーロを採用する19カ国で新たな予算を作る構想だ。近く開かれる欧州連合(EU)首脳会議で提起する。

     ユーロ加盟国は、金利を決める金融政策を欧州中央銀行(ECB)に一本化し、単一通貨ユーロを採用した。ところが財政面では、それぞれ独自に予算を策定し執行している。

     結果として、ギリシャで見られたように、放漫財政に陥りやすい国が市場で信用を失い、国債を発行できなくなるなど、危機に見舞われやすい。加盟国でひとたび危機が生じるとユーロ離脱説が浮上し、それが財政的に弱い他の加盟国に飛び火する構図を抱えてきた。

     こうしたユーロの弱点を克服しようと、財政統合をはじめとする改革を強く唱えるのがマクロン氏だ。しかし国家主権の侵害を懸念するドイツ政府が、否定的な姿勢を崩そうとしなかった。

     その独仏が今回歩み寄り、ユーロ圏予算を2021年に創設することで一致をみたのである。

     もちろん、ユーロ圏予算が直ちに各国の予算に取って代わるわけではない。国家予算を補完する限定的な規模でスタートする可能性が高いが、その規模をはじめ、詳細はすべてこれからだ。

     それでも、欧州統合を推進してきた独仏の首脳が、再び財政や政治の統合に向けて一歩踏み出す意思を表明したことには意義がある。

     1990年前後に当時のコール西独首相とミッテラン仏大統領が通貨統合で合意した際、どの国が参加するかだけでなく、単一通貨の名前も何も決まっていなかった。

     「新たな一章」を成功に導く作業は多難となるはずだ。すでにドイツ国内では、メルケル氏が連立を組む政党などから反対論が聞かれる。しかし、イタリアに財政規律を軽視する政権が誕生するなど、改革にあまり時間をかけられないのも確かだ。

     独仏首脳会談後に出された宣言文には、市民の声に耳を傾け民主的な議論を尊重する決意が盛り込まれた。そこが最も重要だ。

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