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社説

トルコ大統領の再選 強権政治の拡散を恐れる

 トルコの大統領選でエルドアン氏が再選を果たした。同時に行われた総選挙では、同氏が率いる公正発展党(AKP)主導の与党連合が国会議席の過半数を制した。

     エルドアン氏は大統領に権限を集中させるため、議院内閣制から大統領制への移行を目指し、憲法改正を進めた。昨春の国民投票で承認された新制度は、今回の選挙をもって適用される。

     だが、権限の集中度は他国に比べて高い。新大統領は国会の解散権、予算案の策定権、司法要職者の任命権を併せ持ち、三権分立に反するかのように、行政、立法、司法へ同時に影響力を持つ。野党だけでなく欧米からも疑問の声が上がるのは当然だろう。

     親イスラム政党を率い2003年に首相に就いたエルドアン氏は、世俗派に配慮し民主化を進めた。経済成長も遂げ、内外で高い評価を得た。

     それが長期政権になるにつれ、市民運動を鎮圧するなど権威主義的な傾向を強めた。16年7月のクーデター未遂事件以降は非常事態宣言を発令し、政敵とみられる勢力の逮捕・拘束を繰り返してきた。

     批判的なメディアに対しても容赦なく、ジャーナリストの拘束や国外追放を行い、異論を唱えにくい社会になっている。

     にもかかわらずエルドアン氏が支持されるのは、経済やテロ対策で強い指導者を求める国民心理があるからだろう。

     中国やロシアをはじめ、東欧のハンガリーやポーランドでも政治指導者が独裁的な権限を用い、統治する手法が目立つ。自由と民主主義のけん引役だった米国では、トランプ大統領が身勝手に振る舞っている。こうした政治潮流が広まることを懸念する。

     欧州とアジアの接点に位置するトルコは現在、シリアから押し寄せる難民対策で欧州との協力が欠かせない。シリア内戦への関与をめぐっては、米国との協調も必要だ。

     だが、北大西洋条約機構(NATO)の一員でありながらトルコは、米欧との関係がこじれ、ロシアに接近し、不安定化の原因になっている。

     強権的な統治はいつまでも続くものではない。エルドアン氏にはその自覚が必要だ。

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