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はやぶさ2

変化に富むリュウグウ 探査本番へ

はやぶさ2がリュウグウ到着時に管制室で掲げられたはやぶさ2のイラストを手にする吉川真ミッションマネジャー(左)と久保田孝・宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所研究総主幹=宇宙科学研究所で2018年6月27日、永山悦子撮影
はやぶさ2がリュウグウ到着時に管制室で掲げられたはやぶさ2のイラスト。津田雄一・プロジェクトマネジャーらメンバーのサインが入っている=相模原市の宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所で2018年6月27日、永山悦子撮影
小惑星リュウグウの形に似ているとされるそろばんを手にする吉川真・はやぶさ2ミッションマネジャー=相模原市の宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所で2018年6月27日、永山悦子撮影

 小惑星探査機はやぶさ2が27日午前9時35分、地球から約3億キロ離れた小惑星リュウグウに到着した。2014年12月の打ち上げから3年半。日本の探査機が小惑星に到達するのは、先代のはやぶさ以来となる13年ぶり。その瞬間、管制室では大きな拍手が起き、抱き合ったり、握手したりするなど喜びにあふれたという。吉川真・ミッションマネジャーは「とうとうここまできた。まずはホッとしたが、いよいよこれからミッションの本番。緊張感が出てきている。たくさんの科学的な成果を上げ、着陸や新しい技術に挑戦したい」と話した。

 この日の運用は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスで午前7時ごろから始まった。同10分ごろ、リュウグウに到着させるため探査機を減速する化学エンジン噴射の指令を送った。同9時30分に1回目の噴射、続いて35分に2回目の噴射を実施。はやぶさ2は地球から約3億キロ離れているため、はやぶさ2からの情報は地球に16分後に届く。同50分ごろ、2回目のエンジンを計画通り噴射したとの情報が管制室に届いた。

 さらに、その他の探査機のデータを含めて総合的に分析した結果、同54分ごろ、津田雄一・プロジェクトマネジャーが「はやぶさ2 リュウグウ到着!」という文字と、イラストが描かれた紙を掲げ、「予定通りリュウグウに到着した」と宣言したという。

 到着は、エンジンが予定通り噴射▽リュウグウと探査機の距離(20.7キロ)▽リュウグウに対して探査機が一定の位置を維持(リュウグウに対する速度が毎秒1センチ以下)▽探査機の状態が正常--の4点によって確認された。

 今後の見どころについて、吉川さんは「リュウグウは非常に変化に富んでいて、直感的にリュウグウを探査先に選んで良かったと思った。はやぶさの経験があっても、着陸運用は簡単ではない。慎重に進めたい」、久保田孝・JAXA宇宙科学研究所研究総主幹は「相手を知り、作戦を立てる段階になった。いよいよ探査の本番が始まるので注目してほしい」と話した。【永山悦子】

JAXA会見一問一答

 はやぶさ2のリュウグウ到着についての説明会での主な質疑は以下の通り。

 --今後の運用の計画は。

 吉川 到着したので小惑星近傍運用に変わる。明日から近傍運用が始まるので、到着後は、その設定をしている。探索機へ小惑星から20キロの軌道にとどまるための運用や、カメラなど観測機器の運用に関する指令を送る。

 --管制室に、はやぶさプロジェクトマネジャーだった川口淳一郎・JAXAシニアフェローの姿があったが。

 吉川 主に姿勢制御系の人と話していて、予定通りの運用だったので喜んでいたと思う。

 --到着時、管制室には何人くらいいたのか。

 吉川 メーカーのメンバーも含め30人くらいいた。

 --(レーザー光の反射を利用して距離を測る)レーザー高度計(LIDAR)の観測状況は。

 吉川 リュウグウから20.7キロという距離はLIDARで測定した。26日から計測が始まった。往路の航行距離は約32億キロになる。

 --到着のタイミングはどのような基準だったのか。

 吉川 ホームポジションは、リュウグウの質量の推定値をもとに、はやぶさ2が長時間滞在するのに適した位置として上空20キロと決めた。到着は、プラスマイナス数キロの範囲と考えていた。リュウグウに対する速度は秒速1センチ以下。放っておくとリュウグウの引力などでリュウグウへ近付いてしまうので、今後はときどき制御して20キロの位置を維持することになる。

 --スペースガード(地球衝突天体などの観測活動)の観点から、リュウグウの画像を見て分かったことなどはあるか。

 吉川 リュウグウはC型天体で、はやぶさが訪れたイトカワのS型と異なる。はやぶさ2の探査は、そういう天体が地球へぶつかる恐れがある場合にどう対応するかということに役立つ。6月30日はアステロイド・デー(小惑星の日)という、小惑星などの小天体の地球衝突の危機について考える日だが、その関係者からもリュウグウの画像には注目が集まっている。

 --海外のプロジェクトメンバーにはどのように到着を知らせたのか。

 吉川 着陸機マスコットのチームや、はやぶさ2の科学的探査について検討するサイエンスチームには海外のメンバーがおり、共通のメーリングリストがあるので、津田プロジェクトマネジャーから到着したという連絡をしていると思う。これからたくさん反応がくるのではないか。

 --軌道制御10回の作業は大変だったか。

 吉川 非常に神経を使った。細かい軌道の推定作業を実施し、運用も間違えたら大変なことになるから、神経を使ってコマンド(指令)を作るなどした。また、運用も、通常であれば臼田局(長野県佐久市にある大型アンテナ)だけを使うため1日8時間までだが、それだけでは足りないから、夜に海外局も使って運用した。24時間連続ということはなかったが、かなりハードな運用だった。それを計10回もやったのでハードだったが、それがこれから楽になるということでもない(笑い)。

 久保田 運用の様子を見ていたが、メンバーが粛々と平常心で運用していた。はやぶさの経験もあるが、チームが一丸となって訓練するなど皆で考えながらやってきた結果だと思う。いよいよ探査の本番が始まる。はやぶさの着陸運用をやった13年前を思い出し、次の世代が着々とやっているのをうれしく思う。

 --はやぶさ2はトラブルがほとんどなかったと思うが、要因は何か。

 吉川 第一に、はやぶさの経験があった。はやぶさの大小さまざまなトラブルがあったが、それを事前に全て分析し、探査機そのものも改良した。そのおかげか大きな故障はなかった。運用でも、はやぶさの経験からかなり慎重に、何重にもチェックをしてコマンドを送るなどしていた。

 --これからの探査で、どんなことに注目してほしいか。

 吉川 リュウグウそのものだ。初めて見る天体で、かなり科学的意義が高そうに感じる。私の直感だが、今回の探査先にリュウグウを選んで本当に良かったな、と思う。いろいろな観測機器でデータをとれば、新しいことが次々と分かってくると思う。

 リュウグウは直径900メートルと小さな天体なのに、さまざまな特徴がある。まず形がコマ型。同じような形の小惑星は何個も見つかっているが、その中で初めて探査することになる。クレーターもかなり多く、大きなものもある。イトカワには小さなクレーターしかなかった。大小さまざまなボルダー(岩塊)もある。リュウグウがどのようにできたのかということを調べるなど、科学的な期待は大きい。また、C型の小惑星から初めて物質を持ち帰ることができれば、画期的なことが分かるかもしれない。

 --リュウグウの衛星は今のところ確認されていないのか。

 吉川 確認されていない。ホームポジション(リュウグウの上空20キロ地点)からも観測を続けるので、小さいものが見つかるかもしれない。

 --リュウグウの大きさは分かったか。

 吉川 これから分析することになるので、まだはっきり分かっていない。

 --最新のリュウグウの画像の評価は。

 吉川 科学的な評価はこれからだが、サイエンス(科学的探査)のチームと雑談をすると、「ボルダーの数が多く、全体に分布している」「赤道部分が膨らんで見える」「クレーターが深そう」という話が出ている。工学(探査機運用)のチームは「いたる所にボルダーが見えるので、着陸場所をどうするかが難しいかもしれない」という印象を持っているようだ。イトカワもほとんどがボルダーに覆われていたので、そういうケースも想定していた。

 --今後の着陸、試料採取に向けた意気込みを。

 吉川 はやぶさ2の方が、はやぶさよりも楽かと言えばそうではなく、はやぶさ2の方がかなり挑戦的なイメージが強い。はやぶさのときは、これから何が起きるか分からない「怖いもの知らず」だった。同じことがはやぶさ2で起きない保証はなく、はやぶさにも増して、慎重な運用を進め、大きなトラブルを起こさずきちんと試料を採取し、地球に(試料の入った)カプセルを持ち帰りたい。

 久保田 まず大事なことは相手を知ること。小惑星リュウグウがどういうものかということを知り、どこに降りるかということになる。最初の数カ月にじっくりと相手を知る観測を進めたい。いよいよ作戦を立てる段階に入ってきた。リュウグウに人工クレーターを作る衝突体の実験など新しい技術もあるので、そういう挑戦にも注目してほしい。

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