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文芸春秋

お家騒動 異例の社長交代巡り対立

大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞の贈呈式であいさつする松井清人・文芸春秋前社長=東京都千代田区で13日

 大手出版社「文芸春秋」(東京都千代田区)が社長交代を巡って揺れている。松井清人(きよんど)前社長(67)が慣例を破って経理畑の常務だった中部嘉人(なかべよしひと)氏(58)を社長に指名したのに対し、複数の役員・幹部が撤回を求めたのだ。結局、中部・新社長が誕生したが、社員には不安の声が消えない。週刊文春がスクープを連発し「文春砲」ともてはやされる中、お家騒動はどうなるのか。

 発端は松井前社長が4月に示した人事案だった。松井氏が会長に就き、編集出身者が就任することの多かった社長に、経営企画室担当常務の中部氏を充てるという内容だった。

 松井氏を含む8人の取締役のうち、副社長だった西川清史氏(66)や次期社長が有力視されていた常務の木俣正剛氏(63)ら3人が反発。「強引な会社運営をしてきた松井氏が会長として院政体制を敷こうとしている」と訴えたという。関係者によると、常任監査役の打診を受けた木俣氏は、退任の意向を松井氏に伝えた上で、会長就任を諦めるよう説得。松井氏は会長就任案を撤回し、退任した。しかし社員人事を松井氏が決めると宣言したとの情報が流れ、複数の管理職や社員から「なぜ辞める人間が人事を決めるのか」と怒りや危惧の声が上がったという。

 さらに管理職計11人が5月、次期役員人事を白紙に戻し、現役員らの合議で新社長を決めるよう求める要望書を2回にわたり全役員に提出。その中で「単行本の部数、雑誌の編集方針に至るまで、松井氏が強引に決めている」と批判した。しかし同社は同30日、中部氏の社長昇格などの人事を内定した。

 松井氏の後に「週刊文春」「文芸春秋」編集長を歴任した木俣氏は、後継者と目され、両者の関係は良好だったという。ところが木俣氏の古くからの知人によると、松井氏は権力の座にとどまるために編集畑ではない中部氏を指名し「木俣氏と決別した」と言う。

 松井氏は同31日に開いた説明会で社員に陳謝したが、さらに反発が広がった。ある社員は「要望書に名を連ねた人たちへの報復人事があるかを注視している」と述べ、木俣氏は「自由にものが言えるはずだった文春の社風を著しく侵害している」と社員向けメールで痛烈に批判した。木俣氏らは「芸能人や政治家の不倫を厳しく報道しながら、(松井氏には)女性問題がある」ことまで持ち出した。

 松井氏は毎日新聞の取材に「長引く出版不況に対応するために中部氏を指名した」と説明する。「会社四季報未上場会社版」(東洋経済新報社)によると、文芸春秋の売上高(単体)は2013年3月期に266億円だったが、17年3月期には238億円と約30億円減少している。松井氏は「(経理畑の中部氏に)予算をゼロから作ってもらい、そこで初めてノルマでなく目標の数字ができた」と話す。批判や不満の声については「いろいろ思いはあるが反論はしない」と述べるにとどめた。

 同社は今月21日、株主総会と取締役会を開き新役員人事を正式に決めたが、幹部人事を巡って質問も出たという。社員の一人は「『雨降って地固まる』になると良いのだが」と話すが、別の社員は「組織の安定には時間がかかる。混乱の影響は避けられないだろう」と不安を口にする。【山口敦雄】

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